労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

労働者教育運動をめぐる情勢の特徴~総会方針より 国内情勢①「安保3文書」 と大軍拡

(1)「安保3文書」 と大軍拡


〔防衛政策の大転換と軍事優先国家、大軍拡の実現〕

 岸田政権は昨年12月に「安保3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を発表しました。「国家安全保障戦略」では、「パワーバランスの歴史的変化」に対し「総合的な国力を最大限に活用し、国益を守る」そのために「戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換」するとしています。「国家防衛戦略」では「力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力が必要」であり、そのために防衛力を強化するということです。「際限ない軍拡競争」に踏み込むものです。

 「防衛力整備計画」では、2023年度から27年度の5年間で中期防衛整備の流れ込み5兆円含め43兆円の大軍拡計画です。期間内の歳出では人件・糧食費で11兆円、さらに、スタンド・オフ防衛、防空ミサイル防衛無人アセット防衛、サイバー対応、弾薬等装備、防衛生産基盤強化、基地対策などに 43.5兆円費やし、その内16.5兆円は28年度以降に繰り越しです。この軍事優先の路線は、第2次安倍内閣が大転換の助走をつけました。アメリカの世界戦略の大転換に基づき、2014年の集団的自衛権の行使容認、戦争法の可決、さらに安倍元首相が退陣するときに「敵基地攻撃能力」の保有検討を首相談話で発表し、路線をつくりました。


〔日本の対外路線の転換―「敵基地攻撃能力」の保有と日米同盟の侵略的な変質〕

 歴代政権は「専守防衛」を大原則にしてきました。「敵基地攻撃能力」保有への転換は「専守防衛」の枠内という主張はどのような説明してもごまかしであり、彼らなりの憲法解釈からも逸脱する歴史的暴挙です。「敵基地攻撃」はアメリカの「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)への参入が目的であり、IMADの基本原則には「先制攻撃」が明記され自衛隊が組み込まれます。中国・台湾との「台の基本原則には「先制攻撃」が明記され自衛隊が組み込まれます。中国・台湾との「台湾有事」の事湾有事」の事態があればアメリカが介入して、日本の自衛隊は一体化して戦場の第一線に対峙させられます。

 南西諸島のミサイル基地化で石垣島宮古島沖縄県・本島、鹿児島県・奄美諸島陸上自衛隊のミサイル部隊が配置・整備され、島の軍事要塞化が進められます。第二次世界大戦時、日本で唯のミサイル部隊が配置・整備され、島の軍事要塞化が進められます。第二次世界大戦時、日本で唯一戦場となった沖縄をまたも戦場にする暴挙です。さらに、核・生物・化学兵器攻撃に耐えられるものにするために、全国の約300の自衛隊基地の「強靱化」が計画され、日本列島全土が戦場化されていきます。これらの施策の裏付けとなる「軍拡財源法案」や「軍需産業支援法案」などの悪法を成立させない運動、大きな共同が求められています。


改憲発議の危険性〕

 昨年7月の参議院選挙の結果で自公与党と日本維新の会、国民民主党を合わせ改憲勢力参議院の3分の2を占め、改憲の動きが強まっています。憲法審査会も衆議院では昨年は過去を占め、改憲の動きが強まっています。憲法審査会も衆議院では昨年は過去1年間で最多24回、今年は3月から10回、参議院では4月から5回開催されています。緊急事態下での国会議員の任期延長や緊急事態条項に関しての議論を先行させながら、9条改憲の発議をすすめようとしてとしています。国会内の勢力図では改憲発議が可能な状況になっており、許さない圧倒的な国民世論の力が必要です。


〔問われるメディアのあり方〕

 ロシアのウクライナ侵略や東シナ海での中国の覇権主義的な動きなどから、ある程度の軍事力強化もしかたないという世論が強まってきていました。また大手マスコミも「敵基地攻撃能力の保有」化もしかたないという世論が強まってきていました。また大手マスコミも「敵基地攻撃能力の保有」は「専守防衛」の枠内という政府のごまかしにきちんと切り込まない状況がありました。しかし衆参の補欠選挙統一地方選などへ向けた論戦の中で次第に世論動向も動いてきました。5月3日のの憲法記念日に向けて各種世論調査が発表され、毎日新聞では「岸田政権下での改憲に反対」が47%、%、「賛成」が35%、朝日新聞では「憲法9条を変えない方が良い」が55%、「変える方が良い」が37%、共同通信の%、共同通信の3、4月調査では「改憲機運が高まっていない」が71%、「高まっている」が28%となっています。行政からの圧力に屈することなく世論を正しくリードしていくマスコミの役割の発揮が求められています。

 

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