労働者教育協会のブログ

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イデオロギー闘争と学習内容上の課題~総会方針より ⑤自衛隊はいまどう変わりつつあるのか

(5)自衛隊はいまどう変わりつつあるのか

 岸田政権は、安倍政権のときに自民党が提示した自衛隊明記や緊急事態条項などの改憲4項目案を引き継ぎ、改憲国民投票の早期実施をめざしています。憲法への自衛隊明記は、災害救助などで自衛隊を容認する国民感情を利用し、「お世話になっている自衛隊憲法上の根拠をつくるだけで何も変わらない」として、国民の同意を得ようとするものです。

 憲法への自衛隊明記ともかかわり、岸田政権は「専守防衛」に何ら変更はないといっていますが、実際はそうではありません。現在の自衛隊は、2015年に強行された安保法制のもとで集団的自衛権の行使が容認されているのです。政府は従来、自衛隊は「専守防衛」のためのものだとして3つの禁止事項(海外での武力行使集団的自衛権の行使、国連軍への参加)を設定していました。このルールを踏み破ったのが安保法制です。

 この安保法制の具体化し、さらに踏み込もうと、岸田政権は2022年12月に閣議決定した安保3文書にもとづき、5年間で43兆円にもなる大軍拡を強行しようとしています。これによって日本がアメリカの「アジア・インド太平洋戦略」に組み込まれ、米軍と融合し、米軍指揮下で自衛隊集団的自衛権を行使して「敵基地」を先制的に攻撃できるようにすることが目論まれているのです。たとえば「台湾有事」のさいに、自衛隊が「殴り込み部隊」として真っ先に矢面に立たされかねません。岸田政権は、アメリカの要請に従い、「敵基地攻撃」の必要性を積極的に主張するなど、安倍政権でもいえなかったこと、できなかったことを実現させようと躍起になっているのです。

 つまり、憲法への自衛隊明記は、「何も変わらない」どころか、すでに集団的自衛権を行使して「敵基地」を攻撃できる軍事組織に変質させられている自衛隊憲法上のお墨つきを与えるということなのです。それは戦争違法化・武力行使禁止という戦後国際社会の大原則をまっすぐに引き継ぎ、より徹底させた日本国憲法の平和主義を破壊することにほかなりません。

 

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