労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

イデオロギー闘争と学習内容上の課題~総会方針より ⑥運動論から「日米安保」を考える

(6)運動論から「日米安保」を考える

 今日の大軍拡の背後に日米同盟=日米安保があります。その日米安保が、1978年の「日米防衛協力の指針」(ガイドライン)の決定を画期に公然とした日米同盟の新しい段階に入り、97 年の第2次ガイドラインで「アジア太平洋地域の平和と安定」を目的とした日米同盟へ、2015年の第3次ガイドラインで「アジア太平洋地域およびこれをこえた地域」で「切れ目のない日米共同の対応」をおこなう段階へと変質してきました。この第3次ガイドラインの下で、2015年9月、安保法制=戦争法が強行されます。そしてこれを前提に、今日、「安保3文書」をもとにした大軍拡と「敵基地攻撃」の体制づくりが具体化されようとしています。この意味で、大軍拡と生活破壊、そして改憲のおおもとに日米安保があることをあきらかにすることが重要です。

 ただ、いまの国民的共同の一致点が安保法制反対と立憲主義の回復、9条改憲反対にあることはいうまでもありません。日米安保=日米同盟反対は一致点になりません。私たちはこの一致点にもとづく国民的共同を大いに盛り上げていかなければなりません。しかし、同時に情勢のおおもとに日米安保があることをあきらかにしなければ、現状の根本的改革はあり得ません。ここで運動として必要なことは、「一致点にもとづく国民的共同」と「根本にある日米安保に反対する運動」をきちんと区別しながら、私たちの独自の運動で結びつけていくことです。いまどの世論調査を見ても、
中国、北朝鮮の“脅威”の影響もあり、日米安保を 7~8割の人が容認しています。この事態は自然発生的には解決できません。このことを解決するねばり強い独自の運動があって初めて可能になります。そしてこの独自の運動の発展が、「一致点にもとづく国民的共同」を前進させることにもなります。したがって、私たちには、「一致点にもとづく国民的共同」と「根本にある日米安保に反対する運動」という「2 つの任務」があり、独自の任務である「根本にある日米安保に反対する運動」を大いに前進させる必要があります。

 この独自の運動をすすめるにあたって重要なことは、第1に、安保問題に接近する入り口の多様性にもとづき、柔軟なとりくみをすすめることです。たとえば、民意を無視する沖縄における新基
地建設の強行、日本の在日米軍基地の異常性のもとになる日米地位協定の問題、原発推進と日米原子力協定の問題、アメリカなどの農産物貿易の自由化、日本の医療の営利化・市場化問題、さらに最近明るみに出た沖縄嘉手納基地、横須賀基地など全国各地の在日米軍基地から“有害”化学物質PFAS(ピーファス)の検出などの多様な具体的問題を通じて、日米同盟の本質に接近することが大切です。

 第2に、そのためにも、職場から、社会的広がりのなかで要求討議をおこない、具体的で身近な問題を通じて日米安保の問題を明らかにし、いのちと暮らしを守るには日米安保の根本的見直しが
絶対に必要ということを組合の要求として合意することです。日米安保からの離脱を単に「上から」提起するだけでなく、組合の「要求」にしなければなりません。そのためにも、日米安保=日米同
盟がもたらす具体的問題を大いに議論し、そのことを通じて、いのちと暮らしを守るには、日米同盟が最大の障害であることをどこまで明らかにできるかが問われています。

 第3に、日米同盟を離脱する不安を取り除くことです。日米同盟を離脱することは反米ではありません。安保条約の第10条の規定にもとづく合法的手続きによって、安保条約の廃棄は可能であ
り、その後に改めて対等平等な日米友好条約の締結をめざすことです。日米関係は日本の政治的安定や経済の発展に不可欠であり、必要なことは異常な対米従属関係を断ち切り、まともなあたりまえの日米関係に転換させることであるといえます。

 第4には、こうしたとりくみを強化するうえで、安保問題の学習教育の独自の努力が決定的です。安保体制の歴史、条文と仕組み、アメリカがなぜ安保体制=日米同盟を必要としているか、日本がなぜ安保体制=日米同盟にしがみつくのかなどをきちんと学習教育しなければなりません。これがなければ、身近な具体的な問題を日米安保=日米同盟の本質と結びつけて理解できないでしょう。自然発生的には、この理解は生まれてこないのです。

 

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