労働者教育協会のブログ

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憲法問題の歴史的たたかいの時代にふさわしい総学習運動の推進を

 労働者教育協会は、憲法、貧困、安保のキーワードを関連づけて学習する「総学習運動」を提起してきました。
 この8月の常任理事会で、憲法や安保をめぐる情勢の新たな展開に直面するなか、総学習運動の意義をあらためて確認し、学習教育運動内部での意思統一を確認するための討議資料「憲法問題の歴史的たたかいの時代にふさわしい総学習運動の推進を」を確認し、発表しています。
 基本的には内部むけ文書ですが、総学習運動の意義を多くの方に知ってもらいたいので、討議資料の「はじめに」の部分を以下に掲載します。
 
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 いま憲法問題の歴史的たたかいの時代がはじまっています。
 7月の参院選で自公両党は、過半数を獲得し、衆議院とあわせて強権体制をつくりあげています。
 彼らは「成長戦略」を軸とする「アベノミクス」を強行しながら、いよいよ最大のテーマである改憲戦略を本格的に実行しようとしています。
 一つは、集団的自衛権の行使にかんするこれまでの政府解釈の変更であり、もう一つは明文改憲によっていまの憲法を全面的に変えることです。前者は今年から来年にかけて強行されようとしています。
 後者は2~3年かけておこなわれようとしています。
 この憲法問題の背景に日米同盟の新展開があることはいうまでもありません。
 この意味で憲法問題の歴史的なたたかいがはじまろうとしています。
 今年の秋から、消費税引き上げや雇用のルールの破壊、TPPの推進などの「成長戦略」と結合した改憲戦略に対決する国民的運動が開始されます。
 このたたかいに学習教育運動も積極的に参加し、その発展に寄与していかなければなりません。

 これまで私たちは、憲法、貧困、安保のキーワードを関連づけて学習する「総学習運動」を提起してきましたが、この新しい情勢のもとで、あらためてなぜ「総学習運動」が必要なのか、憲法問題の歴史的たたかいにどのように寄与していくのかを議論し直し、運動の構えを明確にして、それにみあう態勢を整えることがもとめられています。

 それでは、「総学習運動」の意味はどこにあるのでしょうか。

 それは第1に、日米支配層の戦略的攻撃の核心を全面的に把握するには、憲法、貧困、安保を関連づけて学ぶ必要があります。
 90年代以降、日米同盟のもとで、軍事大国化と新自由主義的「構造改革」が一体となって展開されてきました。
 この攻撃の本質を全面的にとらえるには、憲法と貧困とともに、そのおおもとにある日米安保をしっかりと学ばなければなりません。

 第2に、日本の社会の変革に確信をもつためにも、憲法、貧困、安保を関連づけて情勢を深く学ぶことが重要です。
 日本の当面の変革は、①安保をやめて平和・中立・非同盟の日本をめざす、②憲法にもとづく民主主義と人権を政治や社会のあらゆる領域で実現する、③大企業の横暴を民主的に規制し、「ルールある経済社会」を実現する、ことにあります。
 こうした民主的改革をおこなうには、日本社会の「2つの弊害」(アメリカ追随、財界中心の政治)をとりのぞかなければなりません。
 「2つの弊害」の深い理解が日本社会の変革のみとおしを確固たるものにします。
 そして、この「2つの弊害」の理解に接近するためにも、憲法、貧困、安保をキーワードとする「総学習運動」の推進がきわめて重要な意味をもっています。
 この意味で、私たちがすすめている「総学習運動」は、日米支配層の戦略的攻撃とたたかい、日本社会の変革に確信をもつための情勢学習の提起なのです。
 
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 運動の具体化としては、諸団体との協力・共同の深化もありますが、昨年秋に刊行した『これでいいのか日米安保』、『学習の友』での連載講座など、学習素材の提供に力を入れてきました。
 勤通大憲法コースもその一環として位置づけられます。
 上記文章や表題にもありますように、やはり当面する情勢との関係では、憲法問題を前面に押しだした学習教育運動ということになります。
 ぜひ多くの方に総学習運動にかかわっていただきたく思いますが、とくに憲法コースの受講を大いにひろげていただきたいですし、学習の友社の関連文献なども積極的に普及・活用していただければ、たいへんありがたく思います。
 
 何卒よろしくお願い申し上げます。