「解決」が取り沙汰されている元徴用工問題を考えるためにも、日本と朝鮮半島の関係の歴史を正確に理解することがどうしても必要です。
そのために最適のテキストとして、あらためて、山田敬男・関原正裕・山田朗著『知っておきたい日本と韓国の150年』(2020年)を紹介します。
本書は『学習の友』の連載講座「日韓(日朝)関係の近現代史」(2019年2~6月号)をもとに加筆修正して刊行したものです。
この連載を実現し、さらに出版にいたったのは、2018年10月の徴用工問題を発端とする日韓関係の悪化が契機となっています。
本書の序章「深刻化する日韓対立とその背景」(山田敬男氏執筆)は、刊行の動機について以下のようにのべています(10頁)。
《今度の徴用工問題での安倍内閣の韓国への論難やメディアの動向、国民の反応を見ると、植民地支配への根本的反省の欠如という深刻さがその背景に存在しています。三六年間の朝鮮半島での植民地支配の基本的事実とその歴史がほとんど知られていないのです。この間の市民運動などで日本近代の侵略の事実とその歴史に関してはそれなりに関心が深められていますが、植民地支配への関心は極めて弱いと言ってよいでしょう。この問題は、日本の民主主義の質にかかわる問題であり、民主主義を本物にするにはこの点の根本的検討が極めて重要になっています。》
このように本書は、日本国民に欠如しがちな真っ当な近現代史認識のなかでもとくに“ウィークポイント”とされる植民地支配の問題を正面からとりあげ、その学習は日本において「民主主義を本物にする」ために重要だという問題意識から刊行されたのです。
注目すべきは、植民地支配時代の歴史とともに、「日韓会談の経過と日韓条約、そして韓国の民主化」を結びつけ、この一冊で「日韓関係がコンパクトにまとめられており、学習会の最適なテキストになっている」(10頁)という点です。
専門書を別にすれば、一般市民むけに植民地時代と戦後史を1冊にまとめたものとして、本書は他に類をみない書籍といえます。
徴用工問題において、当時の安倍政権は日韓請求権協定において決着済み、韓国の態度は「国際法違反」だとしていた。この点の真実を解明するためには、日韓(日朝)関係について植民地時代と戦後史をセットで学ぶことが重要です。
植民地時代と戦後史を別個に学んでいては、なぜ韓国が日本にたいして憤っているのかも、安倍政権をはじめとするこの間の自民党政権の欺瞞的な態度の意味も理解できないことでしょう。
すでに学んでいる人にとっても、韓国(朝鮮)との関係を植民地時代から現在にいたるまで通史的に学ぶことの意義を再認識できる好著です。
ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思います。
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