徴用工問題と学習教育運動の課題
韓国は、社会全体として、本気で日本の植民地支配についての反省を促す決意を示しているのだと感じます。
日本国憲法前文には、冒頭で以下のように書かれています。
《日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。》
有名な文章ですので、目にされる機会も多いかと思います。
前文のはじまりにあたるこの文章は、主語が「日本国民」であり、いくつかの述語的な文章が重なり、そして結論として、「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」としています。
つまり、この文章は、「憲法を確定する」前提として「主権が国民に存することを宣言し」ているのですが、その主権者としての要件のいくつかが、間の文章として挿入されているという構成になっています。
ということは、《政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意》することも、主権者としての重要な要件なのです。
このように考えると、この間の韓国最高裁の連続判決は、客観的には、日本政府のあり方を問うとともに、政治の最終的決定権をもつ主権者である日本国民にたいして、「しっかりとした歴史認識を身につけなさい」と迫っていると読みとることができます。
こうした「主権者としての自覚」は、階級的自覚の形成と発展をに寄与することをめざす学習教育運動にとっても、きわめて重要な問題であり、新日鉄住金にたいする先の判決についても、労働者教育協会内部でも重視し、議論をスタートさせています。
当面は、『学習の友』に徴用工訴訟にかかわる記事を掲載し、この問題を深めるための近現代日朝関係史についての連載講座などを検討しています。
今後も徴用工問題をふくむ歴史認識の問題に注目し、適切な学習教育上の課題の設定や教材づくりを検討し、具体化していければと思っています。 〈Y〉
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