労働者教育協会のブログ

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学習課題・イデオロギー問題②:克服すべき学習運動・イデオロギー闘争の課題(1)統一協会をめぐって(理事会方針より)

 ※ブログ掲載にあたり、センテンスごとの改行、パラグラフごとの1行アキ、一部の表現表記をあらためるなどの措置を施してあります。

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《克服すべき学習運動・イデオロギー闘争の課題(1)統一協会をめぐって》

統一協会とは何か
 「世界基督(きりすと)教統一神霊協会」(統一協会)は1954年に韓国で文(ムン)鮮明(ソンミョン)によって創立されました。
 彼はその前から「混淫派」と呼ばれる土着宗教にかかわり、「混淫による社会秩序混乱罪」や「姦淫容疑」で逮捕されていました。
 1955年には女子大生に対する「監禁罪」でも逮捕されています。彼の主張は、「私は神の子だから、私と肉体関係を持てば救世主を生むことができる」というものだったといわれます。

 統一協会の教典である『原理講論』では、旧約聖書のアダムとエバの時代に、エバがサタンと不倫をおこなったことによって人類が「原罪」を負ったのであり、救世主(メシア)である文鮮明によって清められた婚姻を行うことによってのみ、人類は救済されるといわれます。
 しかし人類の救済には長い歴史が必要であり、世界史は天使とサタンとの戦いの歴史だとされます。
 そしてようやく韓国で救世主としての文鮮明が誕生したのであり、サタンに支配された「エバ国」の日本は、救世主のいる「アダム国」の韓国に貢献しなければならないとされます。
 ここから、日本の信者が巨額の献金をすることが人類救済への道だとされ、また選ばれた信者のみが、文鮮明夫妻の主宰する「合同結婚式」で「祝福」を受けられるとされます。

 統一協会にはもう一つの顔があります。それは、宗教を政治と結びつけ、統一協会が積極的に政治活動を行うことです。
 1961年に朴(パク)正煕(チョンヒ)がクーデターで政権を奪取しましたが、この独裁政権のもとで文鮮明KCIA(韓国中央情報局)と結びついて、1968年に「国際勝共連合」を設立しました。この二重の顔をもって、統一協会は日本に進出してきました。


統一協会と「信教の自由」の問題
 統一協会自民党を中心とした政治家とのつながりが社会問題となるなか、「支持者にも信仰の自由がある」といってみずからを正当化する主張がおこなわれています。
 さらに、統一協会自民党とのつながりを追求することを、「宗教弾圧だ」とまでいっています。

 信教の自由には、さまざまな側面があります。
 たとえば、①宗教を信じるかどうか、どの宗教を信じるのかは本人が任意に選択できるという信仰の自由、②礼拝をおこなったり、布教をしたりする宗教的行為の自由、③宗教的行為を集団的におこなうための宗教的結社の自由、などが挙げられます。①は個人の内面の問題ですが、②、③はほかの人にも関係してくる可能性のある外面的な活動です。

 外面的な活動である場合、その行為によって、ほかの人の権利が侵害される危険性があります。
 しかし、人権は、すべての個人に保障されているわけですから、自分の人権と同様に、相手の人権も尊重する必要があります。
 そこで、人権と人権とが衝突するような場合には、「公共の福祉」によって調整することになります。

 信教の自由も当然、無制限に認められるわけではなく、ほかの人の人権を侵害するような行為は認められません。
 それは、「人を殺すことでその人を救済することになる」という教えを信仰しているからといって、殺人が許されるわけがないことを考えれば明白です。
 では、統一協会はどうでしょうか。
 統一協会は、正体を隠して近づき、霊界の恐怖や先祖の因縁を強調して不安をあおって献金させたり、「この印鑑を買えば救われる」といって高額の印鑑を売りつけたりします(霊感商法)。
 しかも、それをくり返し、全財産をださせ、さらには借金までさせます。
 さらに、その過程で、教義を教え込んで信者にしていきます。
 このような詐欺的行為は、他人の人権を侵害するものであり、認められるわけがありません。

 統一協会とつながっている政治家たちは、「支持者の信仰の自由」をもちだします。
 たしかに、統一協会の信者が自民党やその候補者を支持するのは自由かもしれません。
 しかし、追求されているのは、支持者の「信仰」の問題ではなく、政治家が、選挙協力をしてもらう見返りに、統一協会の研修に参加したり、祝電を打ったりすることで、統一協会の広告塔になり、被害を拡大していることです。

 政治家が「信仰の自由」をもちだしたり、「宗教弾圧だ」といったりするのは、国民の目を問題の本質からそらせようとしているだけであり、統一協会と癒着して、被害(=人権侵害)を拡大してきたことへの反省をまったくしていないことの現れでしょう。
 こういう態度こそ、厳しく批判されなければなりません。

 

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