労働者教育協会のブログ

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情勢学習:「国葬」の強行と統一協会との癒着(理事会方針より)

 ※ブログ掲載にあたり、センテンスごとの改行、パラグラフごとの1行アキ、一部の表現表記をあらためるなどの措置を施してあります。

 

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《「国葬」の強行と統一協会との癒着》

憲法と民主主義に反する「国葬」の強行

 参院選の終盤、7月8日に安倍元首相が銃撃によって殺害されると、岸田内閣は閣議決定で「国葬」の実施を決定し、多くの国民の反対にもかかわらず、9月27日に強行しました。「国葬」の強行は憲法と民主主義を蹂躙するもので絶対に許すことはできません。

 第1に、政権党の政治的思惑で特定の個人を「国葬」という特別扱いをすることは、憲法第14条の「法の下の平等」に反しています。

 第2に、岸田首相は「国葬」を「故人に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式」と説明していますが、これは国民に「弔意」の強制であり、憲法第19条の「思想及び良心の自由」を踏みにじるものです。

 第3に、「国葬」は戦前の絶対主義的天皇制を支える儀式であり、その根拠は国葬令でしたが、戦後の民主化で現憲法国民主権基本的人権と相容れないとして失効されています。

 こうして法的根拠のない「国葬」を国会に諮ることもなく、閣議決定で強行することは法治主義と「法の支配」を踏みにじり、民主主義を根柢からふみにじることになります。

 また、この問題と並んで統一協会自民党の関係が政治の大きな問題になっていますが、反社会的なカルト集団である統一協会と最も深刻な関係にあった安倍氏を「国葬」にすることは、究明すべき彼の癒着関係を免罪にすることになりかねません。

 「国葬」の強行に、多くの国民が反対しました。
 時事通信世論調査(9月9~12日)では「反対」が51.9%になり、「賛成」が25.3%にすぎませんでした。またこの調査で、内閣支持率が前月比12.0ポイント減の32.3%で昨年10月の政権発足後最低になっています。
 “安倍氏の意志を受け継ぐ”といって安倍政治を継承して、一挙に改憲にむけて走りだそうとした岸田内閣の思惑は完全に外れたといえます。


○明るみになった自民党統一協会との癒着関係

 安倍元首相の殺害容疑者は、母親が統一協会の信者として巨額の献金をおこない、家庭が破産したといわれ、その恨みを統一協会と深い関係にある安倍元首相にむけたといわれています。
 この事件は社会的に大きな波紋を投げかけ、この事件を契機に統一協会の実態、統一協会自民党統一協会と安倍元首相などの関係が国会やメディアで議論され、国民の関心も高まっています。

 統一協会は、1964年7月に日本で宗教法人として設立されました。
 みずからの正体を隠して接近し、信者に取り込み、悪質な霊感商法、高額献金、集団結婚などを強いる反社会的集団です。1968年には政治的部隊として「国際勝共連合」が発足します。
 日本で勝共連合は反共攻撃の先兵として活動しました。こうして、自民党統一協会(=勝共連合)との関係が深まります。とくに、反共、改憲で政策的に一致しており、選挙になると自民党の行動部隊として大きな役割を果たしてきました。
 見返りに自民党の議員が統一協会の「広告塔」としての役割をはたすことになります。

 いま、自民党の国会・地方議員や閣僚などと統一協会の「接点」が次から次と明るみになり、厳しい世論の圧力で、自民党は「接点」のある党所属国会議員の名簿を公表しましたが、きわめてずさんで、「自己申告」させる議員任せの対応で、党として調査をおこなおうとしません。
 また、第2次岸田政権の政務三役(閣僚、副大臣政務官僚や補佐官)の国会議員80名のうち統一協会と接点や関係があった議員36名と4割以上になるにもかかわらず、岸田首相は問題の深刻さを自覚せず、何の対応もとろうとしていません。

 2015年、安倍内閣のもとで、文化庁統一協会の名称変更の申請を受理しました。
 統一協会は「世界平和統一家庭連合」となります。
 それまで霊感商法などが社会問題になっていたため、名称変更が受理されなかったにもかかわらず、突然受理されることになり、政治の圧力の疑惑(文部科学相下村博文の関与の疑惑)が生じています。

 統一協会の最大の「広告塔」は安倍元首相でした。参院比例選挙で統一協会の会員票を差配する役割を担っていたと言われています。
 安倍元首相と統一協会の癒着の深さは、父の安倍晋太郎元外相、祖父の岸信介の「安倍3代」の歴史的関係にあります。岸信介は、「国際勝共連合」発足の発起人の1人であり、統一協会本部でしばしば講演をおこない、「合同結婚式」に祝辞を寄せています。
 安倍晋太郎は、岸と勝共連合との関係を引き継ぎ、1988年に勝共連合の「新春の集い」に来賓として出席したり、選挙で勝共連合の応援を受けたりしています。

 統一協会自民党の癒着関係は歴史的なものといえます。そこには先ほど指摘した反共、改憲での政策的一致があり、相互に利用しあう関係であったといえます。
 勝共連合が掲げる改憲案は、9条に自衛隊の明記、緊急事態条項の明記、24条に変えて家族条項の創設にあり、自民党改憲の考え方と一致しています。
 とくに家族条項では、「個人の尊厳」よりも家族を重視し、ジェンダー平等に反対しています。

 統一協会が「信教の自由」を語ることは欺瞞です。
 むしろ、正体を隠して人びとに接近して、恐怖心をあおって入信を強要することは、個人の「信教の自由」への侵害です。
 「霊感商法」だけでなく、何の根拠もない「教義」によって信者と家族を破産させるような献金を強要することは犯罪行為です。
 統一協会公益法人としての「宗教法人」の資格はありません。「宗教法人法」にもとづいて解散させる必要があります。

 自民党統一協会との癒着の解明はまだまだ不充分です。地方議員も含めて徹底して行う必要があります。
 そして反社会的集団と癒着してきた自民党に、有権者の厳しい審判を下す必要があります。来年の統一地方選挙での重要な課題の一つとなります。

 

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