労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

労働者教育運動をめぐる情勢の特徴~総会方針より 国内情勢⑤ジェンダー平等の課題

(5)ジェンダー平等の課題


 世界銀行の2020年の「女性・ビジネス・法律」 指数によると、日本は男女同権がOECD 加盟38か国で最下位です。日本では、女性に認められている法的権利が男性の8割弱にすぎないことが示され、とくに低かったのは、「職場」と「賃金」の分野でした。女性の働きやすさでは、2016年度以降の連続7年間、ワースト2位(英誌エコノミスト)です。

 これまで、日本の女性の就業率は、20代後半から30代にかけて、出産や育児を機に退職し、その後 40代から再就職する、いわゆる「M字型」といわれてきました。しかしこれでは再就職時には多くの女性が非正規雇用となる実態が見られないとして内閣府有識者懇談会が2020年7月に公表した中間報告では「L字カーブ」が指摘されました。つまり、女性の正規雇用率を年齢階層別に線グラフで示した時、20代後半をピークにその後右肩下がりで低下していくという実態です。女性の非正規雇用は、56.0%であり、とりわけ短時間雇用では67.2%を占めます。男女差別に非正規差別が重なり、賃金格差を大きくしています。

 雇用、職場での男女差別の要因には、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業意識が根強くあるのです。政府が少子化対策をいうなら、女性の働く条件の整備、とりわけ保育園の整備数だけでなく病児保育などを含め質的充実が欠かせません。

 若い女性の貧困も深刻です。そんななか、公的支援が足りない中で虐待や性被害にあう若年女性に寄り添って活動してきた一般社団法人Colaboコラボ に対して、公金を不正に使用しているというデマ攻撃がネット上でかけられ、こうしたデマ攻撃に自民党や維新の議員まで便乗するという異常な事態が生じました。そうしたなかで、同法人が運営するバスカフェへの激しい妨害がなされるところまで事態はエスカレートし、妨害排除等の仮処分命令も認められましたが、あろうことか東京都は従来の委託事業から補助事業に切り替えてしまいました。この問題の底にも日本社会に根強く巣食う 「 ミソジニー 女性蔑視 )」 の存在があります。

 刑法の性犯罪規定の見直しがすすめられていますが、政府は「強制性交等罪」の名称を「不同意性交罪」に変更することを閣議決定しました。現行法では「抵抗が激しく困難」 なほどの脅迫・暴行が要件でしたが、フラワーデモなどの運動もあり、改正案では7項目の具体的行為を列挙。同意のない性行為が犯罪になるとの社会的メッセージを発信する第一歩になりました。

 

**********

 

祝! 開校55周年!

2023年度・勤労者通信大学受講生募集中!

4月に開校していますが、9月末まで募集をつづけます。

基礎理論コース入門コース労働組合コースの3コースあり。

2023年度の宣伝物(版下)はこちら

受講申込・各種お問い合わせ・学習相談は下記まで。
kin@gakusyu.gr.jp

 

**********

『学習の友』別冊「ジェンダー平等と労働者─職場や地域でどう取り組むか」絶賛発売中!

ご注文・お問い合わせ・学習相談は下記まで。

tomo@gakusyu.gr.jp