労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

「建国記念の日」は民主主義精神に反する

 少し遅くなりましたが、2.11集会の参加記を以下に掲載します。

**********

 2月11日、東京・日本橋公会堂ホールにて「歴史に学び 世界の平和を立憲主義・民主主義を 日本に 『建国記念の日』反対2015年2.11集会」が開催されました。
 「建国記念の日」に反対する集会は、毎年2月11日を中心に全国各地でひらかれており、今年は50回目を迎えています。
 “靖国派”に支配されている安倍政権の暴走にたいする危機感もあり、歴史認識問題への関心が高まっているなか、今年の東京集会には350人が参加し、たいへん盛況でした。

 この「建国記念の日」というのは、科学的にまったく根拠のないデタラメな祝日です。
 明治初期制定の神武天皇即位の日とされた「紀元節」という祝日(戦後になり、いったん廃止)が、「明治百年」(=1968年)を前にした1966年に祝日法改正案が強行採決され、67年から「建国記念の日」という祝日となりました。
 「の」の1字が入るのがくせもので、政府も科学的な根拠について反論する自信がなかったのか、「建国記念日」がいつであるかはともかくとして、この日に建国を祝うのだ、ということで「建国記念の日」とした、といわれています。


 今年の東京集会では、中東現代史研究者の栗田禎子氏(千葉大学教授・日本中東学会前会長)が「岐路に立つ世界と『戦争法』―現代史のなかで中東・日本・平和憲法を問い直す」と題して基調講演をしました。
 安倍政権が強行した戦争法(安保法)はアメリカの中東介入のすべてに自衛隊が参加できるものになっていると指摘。
 「冷戦」後のアメリカの主戦場は中東であり、NATOなどを巻き込むために集団的自衛権が行使されてきたこと、シリアやウクライナなどが世界規模の戦争の火種になり、日本がそこにかかわっていく可能性に警鐘を鳴らしました。
 また、日本の復古的な国家主義勢力の誤算として、戦争を直接体験した世代が減っても、体験を聞き「同じ体験を繰り返したくない」と学んだ若い世代が生まれていることを強調。
 現在の世界の民衆運動にも触れ「自信を持ってたたかいを進め、次の世代へ手渡そう」と呼びかけました。

 特別報告として、歴史教育の現場のとりくみ、道徳教科化の問題点や18歳選挙権に関連しての教師や生徒への規制の動き、日本軍「慰安婦」問題にかかわる吉見裁判の現状について、3人の方から発言がありました。

 いずれの講演・報告も、現在の危機的な状況にたいして警鐘を鳴らし、解決にむけての議論と行動を巻き起こしていくために傾聴すべき問題提起でした。

 この集会で毎年おこなわれていることは必ずしも「紀元節」にかかわることではなく、天皇制、憲法、教育、イデオロギー批判など多岐にわたっています。
 大事なことは、このような民主主義の精神に反する祝日は断じて認めない、という意志を確認していくことにあるのでしょう。各
 地の集会では、「反対」ではなく「不承認」とかかげているところもあります。

 貧困と格差が拡大しつづけ、非正規雇用労働者が激増、正規雇用でもたいへんな多忙化の渦中にあります。
 日本の労働者のなかには、たった1日の休日でものどから手がでるほど欲しい、という声もあるかもしれません。だからといって、民主主義感覚を歪めてしまうような祝日は、けっして認めてはいけないのではないでしょうか。
 2.11集会を毎年地道につづけていくことには、一つにはこうした意味が込められているのです。  〈Y〉

**********


 勤労者通信大学2016年度受講生募集中!
 学習で明日をつくる力を!
 受講申込・お問い合わせは下記まで。

イメージ 3