労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

人間らしい生活とは?─入門コーステキストより

 恒例?の入門コーステキスト拾い読みです(笑)

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《人間らしい生活とは?》

●人権を保障する憲法
 私たちは、誰もが人権を持っています。人権とはひとことでいえば、「私が私でいられること」です。
 この人権を歴史的に一番侵害してきたのが「国家」でした。国民の生活を無視して重い税金をかける、戦争に動員して命を奪う、国家が決めた宗教以外は認めないなど、1人ひとりが「自分らしく、人間らしく生きること」の前に立ちはだかってきたのです。
 その教訓から近代社会では、「国民の人権を保障するのが国家の仕事である」というしばりをかけました。それが憲法です。日本国憲法も、私たち1人ひとりの人権=私が私でいられることを保障するために、国家権力に守らせるものです。
 その人権の核になるものが「個人の尊厳」という価値観です。尊厳とは、1人ひとりを非人間的に扱ってはならないこと、人間としてふさわしい扱いをすべきことを意味します。人間関係において、おたがいを人間として認めあおう、ということです。
 ここで問題になるのは、では「人間としてふさわしい扱い」とはいったい何か、どんな基準か、ということです。これを自分のなかで持っていなければ、「尊厳が侵害されている」「これはおかしい」とはなりません。

●人権感覚のむずかしさ
 さらに人権感覚の難しさは、ハッキリ目に見えないことです。自分のなかにある尊厳は、体温や血圧のように実測・数値化できるものではありません。歴史のなかで一つひとつ勝ちとられてきた自由や権利も、歴史を学ばなければ、その感覚自体が育ちません。学校教育や職場などで、「人間にふさわしい」基準を考え議論する機会が少ないことも、人権感覚が育ちにくい背景になっています。
 人間は、劣悪な環境、「非人間的な扱い」を受けていても、それにある程度順応することができます。適応力がとても高いのです。「しょうがない」「どこもこんなもんだ」「働けるだけでしあわせだ」「下を見ろ。まだマシじゃないか」などと、人間らしさの基準は、ほうっておくと、スルスルと、どこまででも下がっていきます。

●日々のトレーニングが必要
 だから大事なことは、「人たるに値する生活」(労働基準法第1条)とは何か、そのための労働条件はどうあるべきかを、みんなで議論し、その水準を高めていくことです。1日何時間働くことが人間らしい働き方なのか。最低賃金の水準で働いてはたして人間としてふさわしい生活が営めるのか。休日や休暇のとり方は、私が私らしく生活していくために満足するものか。人をモノ扱いするような派遣労働や、取り替え可能な代替要員としての非正規雇用の働き方は、人間の尊厳を奪うものになっていないだろうか。まわりの人とぜひ議論しましょう。
 憲法にも明記されているように、健康で文化的な、人間としてふさわしい生活を営む権利は、すべての国民にあるのですが、それを実現するためには、「人間らしい生活とはなにか」「私の尊厳は守られているか」という人権感覚をみがき、「おかしい」に気づく力を、日々鍛える努力が必要なのです。
 身体の健康を保つためにウォーキングやスポーツをするように、人権感覚を保つために、日々のトレーニングが必要です。そのための場所や時間をたくさんつくりましょう。


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