労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

軍事研究の禁止と名古屋大学平和憲章

 一昨日アップした《学術会議「軍事研究せず」を継承 新声明案、防衛省公募に対応要請》という記事をアップしたところ、そのせいかはよくわかりませんが、その日の閲覧者数は、確認できただけで70人を超し、翌日(昨日)の閲覧者もかなり多かったようです。
 この問題への関心の高さの現れでしょうか。

 そんなわけで、少しだけ続きのようなものを。

 いずれにせよ、今回の日本学術会議の文書は「新声明案」ですので、公式の声明ではありません。
 4月の総会で採択されれば、公式の声明となります。

 一昨日の記事では、軍事研究の禁止・抑制とともに、それを現実のものにする基盤として、「私学助成増額など大学や研究機関への援助を手厚くする政策をセットで」やることが大事だといいましたが、この新声明案でも、「民生分野の研究資金の一層の充実」の必要性が強調されています。

 この問題に関連して想起されるのは、名古屋大学平和憲章です。
 いまから30年前、1987年2月5日に発表されたものですが、すごく格調高い内容です。
 少しだけ引用します。

 《平和とは何か、戦争とは何かを、自主的で創造的な学問研究によって科学的に明らかにし、諸科学の調和ある発達と学際的な協力を通じて、平和な未来を建設する方途をみいだすよう努める。》
 《平和に貢献する学問研究と教育をすすめる大学にふさわしい条件を全構成員が共同して充実させ、発展させる。》
 《……国の内外を問わず、軍関係機関およびこれら機関に所属する者との共同研究をおこなわず、これら機関からの研究資金を受け入れない。また軍関係機関に所属する者の教育はおこなわない。》

 他にもいろいろいっていますが、これだけ読んでも、この平和憲章の意義を感じとっていただけると思います。
 「平和に貢献する学問研究と教育をすすめる大学にふさわしい条件」の「充実」「発展」についても言及していますから、この点は「新声明案」の「民生分野の研究資金の一層の充実」との指摘とも重なります。
 「かけ声」ももちろん大事ですが、その目的を実現・充実・発展させていくためには、やはり資金面をふくめた条件整備についても検討・実行していく必要があります。

 ちなみに名古屋大学平和憲章については、ノーベル物理学賞を受賞している益川敏英さんが『科学者は戦争で何をしたか』(集英社新書)などで紹介しています。

  学習教育運動でも何かをしなければ、ともいいましたが、この問題が私たちの運動にとって中心的な位置づけをもつものではありませんから、できるとすれば、『学習の友』に関連記事を載せるとか、出版企画で何かできないかとか、そんなところでしょうが、あくまでもブログ担当者の個人意見です。
 ただ、重要性そのものは内部でも共有できると思いますがね。
 今後もこうした問題に注目し、ときどき記事をアップできればと思っています。  〈Y〉

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