労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

「国民の過半数」ではなく「投票者の過半数」では?

 憲法コース受講生からの質問と回答を掲載します。
 
Q:テキストには憲法改正について「国民の過半数の賛成を必要としている」とありますが、これは「投票者の過半数」のまちがいではありませんか?

A:
 現在は国民投票法が制定されてしまっていますから、本来ならこの議論は法律との関係でやるべきですが、ここではあくまで憲法の問題としてお答えします。

 結論からいいますと、「国民の過半数」で差し支えないと思います。第96条では「その過半数」となっており、「その」は「国民投票」のことを指します。

 もちろん、国民投票の制度が具体化されれば、投票権をもつ人(有権者)の範囲が限定されますから、あなたのいうように「投票者(有権者)の過半数」ともいえるかもしれませんが、より厳密にいえば、「有効投票数の過半数」ということになるでしょう。

 ただしその場合、有権者の範囲をどのように確定するかが重要となります。
 憲法の立場にそくしていえば、国民主権にふさわしい国民投票制度たりうる有権者の範囲をどのように確定するか、ということです。
 憲法を制定した段階では、まだ実際に「改正」することは想定されていませんから、当然のことながら、有権者の範囲をどうするかについての議論はなされていません。
 そうした前提にたてば、とりあえずは一番ひろく「国民」と解釈するのが妥当だといえます。