当面の課題は、集団的自衛権についての政府解釈を変更することです。
安倍首相は、年末の防衛大綱の再改定までに「議論を煮詰めていきたい」とのべています(『読売新聞』4月17日)。
自民党は昨年7月に集団的自衛権の行使を無条件に認める安全保障基本法(概要)をきめています。
そして世論誘導をはかるために、すでに復活させた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の活動を本格化させようとしています。
どのタイミングでどのように強行するかは、世論の動向いかんですが、この問題が重要な段階に入っていることは確実です。
この政府解釈の変更が強行されれば、憲法第9条が根本的に形骸化され、死滅化されることになりかねません。
もちろん、念願の明文改憲にむけての動きも本格化するにちがいありません。
安倍内閣は国民の現憲法への支持の高さをふまえ、明文改憲を急ぐあまりに挫折することになった前政権時の二の舞を避けるために、一定の時間をかけた本格的な憲法論議をはじめようとしています。
この点で、先の安保法制懇のメンバーであり、安倍首相のブレーンの1人である北岡伸一氏(国際大学学長)の次のような発言が注目されます(『日本経済新聞』7月1日)。
《今回の参院選後には、3年間、国政選挙がない可能性がある。この間には、経済に集中的に取り組んで、その後半に、憲法問題に取り組むのが望ましい。今回の参院選の前に議論を沸騰させる必要はない。各党の立場をもう少し明確化させ、今後の2~3年の間に熟慮と合議を積み重ね、2016年の参院選の前に、国会の発議に持って行ったらどうだろうか。そして16年には衆参同日選挙を行い、同時に国民投票を行うのである。》