労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

労働協約と公務員労働者

 つい最近、勤通大のテストの添削をしていただいている方から電話をいただきました。
 労働組合コースの第1回テストの出題のなかで、○×問題として、以下のようなものがあります。

 「労働協約は、使用者と組合員の間のすべての労働契約、就業規則、その他の諸規則に優先するものです」。

 正解は「○」ですが、この添削者の方によると、公務員の方でまちがえている人がけっこう多いので、少し補足説明をした方がいいが、どうしたらいいか悩んでいる、ということでした。

 なるほど、公務員労働者は、協約締結権をふくめて労働基本権が大幅に制約されていますから、そうした実情からすると、まちがえてしまうのもやむを得ないともいえるかもしれません。

 そこで、公務員の受講生の方で、この設問に「×」をつけてしまった方には、以下のような補足説明をつけることにしました。

 【労働協約について少し補足します。まずはテキスト84ページから引用します。
 《労働協約は、労働組合がたたかいとった成果を労使間で確認した文書だといえます。労働組合にとっては戦利品であり、使用者からすると「誓約書」です。》
 添削者の方も指摘されているとおり、労働協約は法律に準ずる強い効力をもっており、労働者・労働組合にとっては貴重な「戦利品」です。本来ならば労働協約の締結は、公務員をふくむすべての労働者に保障されるべき権利です。
 しかし現実には、協約締結権をふくむ公務員労働者の労働基本権は大きな制約を受けています(94~100ページ。97ページに「公務員労働者の権利のあらまし」、99ページに「公務員の労働基本権」について掲載)。2000年以降の公務員制度改革のなかで協約締結権についての議論がはじまっていますが、労働者・労働組合が団結とたたかいを強め、協約締結権にとどまらず、労働基本権をいっさいの制約なしに公務員にも保障させていくことがもとめられてます。】

 あまり細かいことに立ち入らず、ごく大づかみに、最低限の補足説明です。
 勤通大として対応できるのはこのくらいまでで、ここから先は、国公労連や自治労連の方々の力を借りなければなりません。

 それにしても、テストをつうじてさまざまな「発見」がある場合がありますが、それを指摘してくれるのは添削者の方々の肩にかかっています。
 今年の協会総会でも添削についての発言がありましたが、あらためて、添削活動の重要性を痛感しています。〈Y〉