労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

イデオロギー闘争と学習内容上の課題~総会方針より ⑦新自由主義的労働改革としての「働き方改革」

(7)新自由主義的労働改革としての「働き方改革

 2010年代半ば以降、自公政権は 10年にわたって「働き方改革」を看板政策のひとつとして掲げ推進してきました。政府・与党は、この「働き方改革」を、労働者の健康と生活を守る政策であると主張し、そうしたシンボル操作は世論のなかにも一定の浸透をみてきました。

 しかし「働き方改革」の最も核心をなすコンセプトは「柔軟な働き方」「自由な働き方」です。このコンセプトに基づく具体的な政策方針のひとつである「労働時間ではなく成果による報酬決定」が、実質上、労働時間の上限規制を撤廃する「定額働かせ放題」制度をもたらすことは、「働き方改革法」の成立過程における論戦において白日の下にさらされてきました。しかし、「自由な働き方」という政策的スローガンに含まれるいっそう危険な本質をも見逃してはなりません。すなわち、自公政権と資本がこの政策理念にこめた企図は、雇用労働者の個人請負化・個人事業主化の推進なのです。

 すべての労働者が個人事業主化していくような経済のあり方をめぐって、一部メディアや「識者」などは、誰もが成功のチャンスを得られる仕組みであるという夢のような話を振りまいています。しか
し、雇用関係においては、働き手は、名実ともに雇主の指揮命令の下で働かなければならないという法的関係が明確であり、雇用労働者は雇主に対して従属的な、弱い立場にあるという前提が存在します。それゆえ、相対的弱者としての雇用労働者を社会的に守るために、さまざまなワークルールが制定され、各種の被用者保険(社会保険)が整備されてきたのです。

    「自由な働き方」の名の下で、雇用制度が溶解された状況が生み出す経済社会は、そうしたルールや制度が無効化される社会です。法定労働時間・最低賃金・安全衛生に関するルールなども、すべて撤廃される社会です。それは労働者にとって「自由な働き方ができる」社会ではなく、資本にとって「自由な働かせ方」ができる社会に他なりません。われわれは、「働き方改革」のこうした新自由主義的本質を暴露し、こうした企みを粉砕する闘争を支えるべく、研究と学習活動をさらに推進していかなければなりません。

 

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