(4)「コロナ禍」は、労働者・国民に何をもたらしたか
3年にわたる「コロナ禍」は、何を労働者に問いかけ、何をもたらしたでしょうか。
第1に言えることは、「エッセンシャルワーカー」ということばがマスコミで広がったように、どんな困難な状況のなかでも、労働者なしには社会は動かないということがわかったことに大きな意味がありました。しかし、医療・介護、運送関係の労働者には目が向けられましたが、その待遇は改善されずに労働者・従業者の犠牲でしか「コロナ禍」をのりきることはできなかったという事実は重く受け止めなければいけません。いっぽうでは飲食店や宿泊業などでの労働は「不要なもの」という扱いを受けたことは大きな問題となりました。そういうなかで 2008年の「リーマンショック」の再来のように、サービス関連業種では「非正規切り」が再発しました。学生のアルバイト先もほとんどなくなりました。
第2に言えることは、現在の社会では、このように大事な労働でも、目の前に役立つかどうかだけが優先され、その陰で働き生活する労働者・国民にはきわめて冷たいということがわかったことです。それが、「コロナ禍」が一定の落ち着きをみせている現在、いったん排除された非正規雇用労働者や学生アルバイトが戻ってこないという現実に明白に示されています。
第3に言えることは、広範に「出勤規制」がおこなわれたことにより、労働時間が短い期間が増えたことによって、家族と過ごす時間の大切さが強く感じられ、いっぽう長時間拘束される働き方を見直す気分が広がっている面があることです。
第4には、多くの労働者がともに働く仲間と切り離される期間が生まれたことにより、よりいっそう仲間との連帯を求める気持ちが強くなっている面にも注目すべきです。ことしの「お花見」が大きく盛り上がったことなどにも、それは表われています。
問題は、このような労働者のなかで生まれている感覚や疑問に、どのように解決していくのかです。政策的な方向性も持ちながら、意識的に働きかけていくこと求められています。
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