『学習の友』2022年4月号に掲載した編集部名の文章を転載します。
開戦から4ヵ月以上が経ち、さらに突っ込んだ分析が必要ですが、この文章で整理した方向性に何度でも立ち返ることが重要でしょう。
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ロシアのウクライナ侵略を糾弾する
『学習の友』編集部
◆核威嚇もふくむ無法行為
『しんぶん赤旗』2022年2月26日
ロシアが隣国ウクライナに侵略を開始(2月24日)し、子どもをふくむ多数のウクライナ人が殺されています。こともあろうに、ロシア軍は3月4日、欧州最大規模とされ
るウクライナ南東部のザポロジエ原子力発電所(原発)までも攻撃・占拠しています。幸いにも原子炉には着弾しなかったものの火災が発生。予断を許さない状況がつづいています。
またロシアは、核兵器大国であることを誇示し、核兵器禁止条約で禁止されている核威嚇にもふみだしています。ロシアのプーチン大統領は2月27日、自らの核戦力を念頭に「ロシア軍の抑止戦力を特別戦闘任務態勢に置く」よう命令しました。
ウクライナ人の生命と安全をまもるために、一刻もはやくロシアに侵略をやめさせなければなりません。国際社会の一致団結した行動がもとめられています。
◆国際法上の根拠がない主張
プーチン氏はウクライナ侵略を正当化するための口実として、米国主導の軍事同盟・北大西洋条約機構NATO)の脅威、ロシアが「独立」承認したウクライナ東部地域からの要請、ウクライナは独立国ではなくロシアの一部、などとのべています。しかし、いずれも国際連合(国連)憲章にてらして認められない主張です。
ウクライナはNATO非加盟のうえ、NATOがウクライナに派兵しているわけでもありません。ウクライナ東部地域の「独立」も国際的には不承認です。またウクライナも、1991年のソ連からの独立が国際的にも承認され、現在にいたっています。つまり、どの主張もロシアの勝手な言い分にすぎず、国際法上の根拠はないのです。
◆世界中でロシアに抗議
国連憲章のもとで国際平和に主要な責任をもつ安全保障理事会(安保理)でウクライナ問題が協議されてきました。しかし、安保理常任理事国でもあるロシアの拒否権発動でロシア非難決議は採択できませんでした。
そこで、安保理が機能できないときに国連総会をひらいて「軍隊の使用」をふくむ集団的措置をとるとした1950年の「平和のための結集」決議にもとづき緊急特別会合を開催。加盟国193ヵ国の7割超となる141ヵ国の賛成でロシア非難決議が採択されました(3月2日)。
「ロシアは侵略をやめろ」という抗議の声は世界中にひろがっています。ドイツの首都ベルリンでは10万人以上が抗議行動に集まり、ロシア国内でも弾圧に抗して各地でデモがおこなわれ、侵略を開始した2月24日には53都市で反戦行動がありました。
◆憲法第9条いまこそ旬
日本でもロシアへの抗議行動がひろがっています。しかしその一方で、一部メディアや政治家らが「憲法第9条では日本をまもれない」「国連は無力だ」などと主張しています。安倍晋三元首相にいたっては、アメリカの核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」を議論すべきなどと発言し、これに日本維新の会などが同調しています。
戦争違法化・武力行使禁止という国連憲章の原則的立場を継承し、さらに徹底させたのが日本国憲法第9条です。それは、「二度と侵略国家にならない」ために、戦争も戦力も放棄して世界平和の実現にむけて先頭にたつことを決意したものです。南シナ海での中国との領土紛争の平和的解決をめざすなど、本気で戦争放棄を追求する東南アジア諸国連合(ASEAN)とも連携して、いまこそ第9条をフル活用すべきです。
(2022年3月7日記)
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