全労連事務局長談話】中東において新たな戦争を起こしてはならない。武力ではなく対話による解決を。自衛隊の中東派兵の撤回を求める。
2020年 1月8日
全国労働組合総連合
事務局長 野村幸裕
トランプ政権は、1月2日夜、イラクのバグダッド空港でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。トランプ政権は、差し迫るテロの脅威に対する「自衛」だなどと正当化しているが、その根拠は示されていない。どのような理由があったとしても、一国の政府要人を殺害することが正当化されるはずがない。明確な国際法違反であり、国連憲章違反である。全労連は、国連憲章と国際法を無視した米国の軍事行動に強く抗議し、すべての軍事行動の中止を求める。
グテレス国連事務総長が「最大限の自制」を呼びかけたのをはじめ、世界各国からも批判の声が上がり、全米各地で「イランと戦争するな」とデモが広がっている。
しかし、事態は新たな段階に発展した。イラン国営テレビは、1月8日未明、米軍と有志連合が駐留するイラク西部のアインアルアサド空軍基地などにミサイル攻撃を実施したと報道した。このままでは「戦争」に突入しかねない重大かつ緊迫した事態となった。
武力は報復の連鎖を生むことにしかならない。対話こそが唯一の解決の手段である。全労連は、米国とイランに軍事行動をただちに停止し、対話のテーブルにつくよう強く求める。
今回の問題は、そもそもトランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことに端を発している。トランプ政権はイラン核合意に直ちに復帰し、政治交渉で問題解決をはかるべきである。
安倍政権は、このようなトランプ政権の無法を黙認したまま、昨年12月27日に閣議決定した自衛隊の中東派兵を推し進めようとしている。このように緊張が高まるもとで、きわめて無謀かつ危険な道を進もうとしている。安倍政権がなすべきことは、軍事的緊張を高める自衛隊の中東派兵ではなく、米国とイラン両国に対して、軍事行動中止を求めることである。憲法9条に基づく平和的外交に力を尽くすことである。
中東において、新たな戦争を起こしてはならない。全労連は、武力ではなく対話による解決を強く求める。そして、安倍政権に対して、中東への自衛隊派兵の閣議決定を撤回し、派兵を中止するよう強く求める。
いま、全国各地の労働者・市民が、「戦争反対」の声を上げようと立ち上がっている。全労連は、その先頭に立って行動し、戦争回避に向けて全力を尽くすものである。
以 上
*掲載元↓↓↓
http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2020/opinion200108_01.html