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勤労者通信大学学長 山田敬男
受講生のみなさん。入学おめでとうございます。
勤通大は、1968年に開校されてから50年を迎えます。今年度の勤通大は、50周年を記念して入門コースを開設します。社会科学をはじめて学ぶ人たちを対象として労働組合や民主団体、市民運動の積極的な担い手になっていただきたいという期待が込められています。入門コース以外には、憲法コースと労働組合コースが開校され、憲法と労働組合をめぐる情勢と「そもそも論」を学ぶことができます。
いよいよ21世紀の日本のあり方を左右する歴史的なたたかいがはじまります。1月4日、安倍首相は伊勢神宮参拝後の記者会見で、「今年こそ新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示する」とのべました。安倍首相らは今年を「勝負の年」として年内に改憲発議をすることを目標にしています。
安倍首相や自民党は、今年の3月末までに新年度予算案を成立させ、それまでに自民党の改憲案をまとめ、国会の審議に入り、今年後半の改憲発議をめざしています。具体的には、通常国会を大幅に延長して発議するか、場合によっては秋に臨時国会を召集して、そこで発議することをねらっています。国民投票は発議から60~180日以内となっていますので、2018年中か、遅くても2019年冒頭までの国民投票を企んでいると思われます。
彼らは、「これで憲法改正できなければ、もう2度とできないだろう」と必死になって今年中に改憲決議を強行しようとしています。日本会議国会議員懇談会事務局長の木原稔衆議院議員は「最後は国民投票だ。相手も命がけでやってくる。命がけの闘いになる」と語っています(二階堂友紀「日本会議、その飽くなき現実主義」『世界』2017年12月号)。
今度の通常国会では、「働き方改革」法案も、重要な争点の一つになっています。その主な内容は、第1に、「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」をつくることにあります。年収1075万円以上の「高度専門職」について、労働時間、休憩、割増賃金などの規制を適用除外するものです。企業は労働時間も管理せず、残業代も払いません。過労死しても自己責任です。財界は、法案成立後、年収要件や指定業務の緩和を要求しています。
第2に、裁量労働制を拡大し、「提案型営業」にまで拡大しようとしています。たとえば、協定で8時間ときめれば、何時間働いても「8時間」働いたことと「みなされて」しまいます。現在は、企画や専門業務に限定されていますが、それを営業にまでひろげようとしているのです。
第3に、労使協定(36協定)でできる残業の上限を、大臣告示で限度基準としている「月45時間、年360時間」と法律で設定します。しかし、「特例」があり、休日労働をふくめ2~6ヵ月平均で月80時間以内、単月で100時間未満まで残業を認めます。これは過労死の認定基準と同じであり、過労死するまでの残業を認めることになります。
このように「働き方改革」法案のねらいは、財界の要求にこたえ、長時間労働を容認し、残業代ゼロを合法化するものです。格差がひろがり、過労死の危険性が増大します。私たちは、安部「働き方改革」を許さず、「8時間働けば普通に暮らせる社会」をめざして運動を前進させなければなりません。
いま大事なことは、おかしいことはおかしい、だめなことはだめと声をあげることです。大切なことは、勇気をさして一歩前にふみだすことでしょう。しかし、いまの職場や地域をみると、勇気をだして声をあげることは簡単なことではありません。それは勇気がある特別な人にできるのだ、という声が聞こえてきそうです。しかし、勇気は個人の性格の問題ではありません。普通の仲間でも勇気をだせるのです。信頼できる仲間に支えられ、学習によって問題の核心を理解できている場合に発揮できるのです。
支えてくれる仲間の存在が決定的です。いい方を変えれば、仲間を支える“まともな人間関係”があるかどうかです。多くの職場で、差別やいじめ、不正など理不尽なことは許さないという“まともな人間関係”が失われています。これでは労働者はバラバラにされ、本音のつきあいもなく、とても勇気をだすことができないでしょう。職場に“まともな人間関係”がなければ、労働者は当たり前の普通の労働者になることができないのです。理不尽なことを認めず、仲間を思いやる「まともな人間関係」をとりもどすことが、団結の基盤を回復させ、1人ひとりの仲間が勇気をだして声をあげることを可能にさせるのです。そのためにも、1人ひとりの仲間の思いを大切にする運動がもとめられています。
私たちは、歴史的な岐路に立たされています。全力をあげて「働き方改革」法案の成立を阻止し、改憲発議をやめさせなければなりません。こうした運動を職場地域から組織するには、職場・地域に「憲法と政治を語る力」「政治と社会を語る力」をもった仲間の存在が決定的です。
仲間がこの「力」を身につけるには、何といっても大事なのは学習です。情勢の学習を深めながら、さらに、ものの見方・考え方、経済や社会のしくみ、歴史の発展法則、社会変革の運動論などの基礎理論の学習が重要です。こうした学習によって、うわべのできごとにふりまわされず、ものごとの本質をしっかり理解し、世の中と運動の未来に確信をもつことが可能になります。こうした仲間づくりの「場」が勤通大です。歴史的激動の1年、私たちの生き方が問われています。生きる力や活動への確信を勝ちとるたたかいとして勤通大の学習に全力をあげましょう。
みなさん。学びながらたたかいましょう。たたかいながら学びましょう。みなさんが学習と実践を結びつけ、魅力的な“行動する知性派”としてご奮闘されることを心から願っています。
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