各地に配信している『勤通大2018推進ニュース』第1号(1月9日発行)に掲載した山田学長のあいさつをブログにも掲載します。
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歴史的闘いに連帯する勤通大運動を
成功させよう!!
――2018年度は、入門コースを新設!
労働者教育協会会長・現代史家 山田敬男
1 いよいよ歴史的なせめぎ合いの年に
・安倍首相の改憲への執念
皆さん。新年おめでとうございます。いよいよ21世紀の日本のあり方を左右する歴史的な闘いが始まります。1月4日、安倍首相は伊勢神宮参拝後の記者会見で、「今年こそ新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示する」と述べました。安倍首相らは今年を「勝負の年」として年内に改憲発議をすることを目標にしています。
自民党の「憲法改正推進本部」は、昨年の12月20日、「論点整理」を了承し、早急に自民党案をまとめようとしています。最大の彼らの課題である9条改憲をめぐっては、①「9条1項・2項を維持した上で、自衛隊を憲法に明記するにとどめるべき」②「9条2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するする改正を行うべき」と両論併記して結論を出していません。①は昨年5月3日に安倍首相が提起したものです。②は2012年の自民党改憲案の「2項削除・国防軍保持」に基づくむき出しの9条改憲案です。可能性としては、安倍首相の①案でまとまることになるでしょう。
安倍首相や自民党は、今年の3月末までに新年度予算案を成立させ、それまでに自民党案をまとめ、国会の議論に入り、今年後半に改憲発議を行うことを目指しています。具体的には、通常国会を大幅に延長して発議するか、場合によっては秋に臨時国会を召集して、そこで発議することを狙っています。国民投票は発議から60~180日以内となっていますので、彼らは18年中か遅くても19年冒頭までの国民投票を企んでいると思われます。
彼らは、「これで憲法改正できなければ、もう二度とできないだろう」と全力をあげて今年中に改憲決議を行おうとしています。日本会議国会議員懇談会事務局長の木原稔衆議院議員は「最後は国民投票だ。相手も命がけでやってくる。命がけの闘いになる」と語っています(二階堂友紀「日本会議、その飽くなき現実主義」『世界』17年12月号)。
2 保革の枠を超えた多数派の結集
・憲法と沖縄での勝利を
これに対して市民連合は「万一、与党が数を頼んで改憲発議を行った場合、市民連合は国民投票において、安倍政権の進める憲法改正に反対するための大きな運動をつくるために、立憲野党とともにさらに努力を進めていきたい」と、のべています(昨年10月の「第48回衆議院議員選挙に関する見解」)。また、昨年9月に発足した「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」は3000万署名を提起しています。今年(18年)は、改憲発議を許すのか、安倍改憲NOの国民的合意かを軸とする政治的対決の激動の年になります。
同時に、沖縄の新基地建設問題も、今年は大変な激動を迎えます。沖縄県民の意思はこれまで何回もの選挙で示され、昨年の総選挙でも、4選挙区のうち3選挙区で勝利し、基地はNOという県民の意思が示されています。そして今年は、2月名護市長選、9月名護市議選、11月県知事選・那覇市長選と政治的激戦が続きます。「オール沖縄」の力で、勝利することがこれからの新基地建設反対闘争に大きな意味を持ちます。
市民と野党の共闘を本格的に発展させ、憲法と沖縄での勝利を勝ち取らなければなりません。立場の違いを超え、対話と学習を積極的に行い、多くの保守層を含めた国民的合意をつくり出すことが重要になっています。そして、この闘いが勝利すれば、安倍内閣の退陣を必ず実現することができます。
3 学習教育運動の出番
・学習なしに勝てない
ここで重要なことは、この歴史的な憲法闘争は、学習なしに勝てないことです。いま職場や地域で、3000万署名が精力的に進められていますが、そこでぶつかっている問題が指摘されています。たとえば、自衛隊には自然災害などでお世話になっているのだから、9条の1項・2項に手をつけないのであれば、憲法に「明記」してもよいのではないかという素朴な意見です。この意見を持つ人たちをなかなか説得できないという署名運動の壁が指摘されています。この問題は3つの点で考えることが大事です。
第一は、憲法に明記されようとしている自衛隊は、2015年9月に強行された安保関連法に基づいて行動する自衛隊だと言うことです。それ以前の自衛隊とは性格が異なっているのです。「戦闘地域」での兵站活動が容認され、「限定的な」集団的自衛権の行使が可能とされたのです。なぜ「限定的」になったのかといえば9条2項が存在していたためです。そのため集団的自衛権の行使は、「我が国の国民の生命、財産、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合(存立危機事態)に「限定」され、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争のような武力行使を目的とした戦闘に自衛隊が参加することはない、と安倍内閣はのべざるを得なかったのです。この「限定」=制約を取り除いて自由に海外での武力行使を可能にさせるために「自衛隊明記」が必要になっているのです。
第二は、したがって、「自衛隊明記」は、「自国を守る」ために入隊した多くの自衛隊員を「専守防衛」の建前と違う海外での戦争で外国人を殺し、自分も殺されかねない危険な中に追いやろうとするものに他ならないことです。これまでの大義のないイラク、アフガニスタン戦争や南スーダンの紛争などへの派兵が自衛隊員の心を傷つけています。政府答弁(15年6月5日)によると、01年から10年までのイラク・インド洋派兵を経験した隊員56名が自殺し、そのうち14人が、因果関係を特定するのが困難としながら、精神疾患によるものとされています。また南スーダンに派遣された第11次派遣隊所属の隊員一人が自殺しました。今後、自衛隊の海外での武力行使の制約が取り除かれ、自由になれば、多くの自衛隊の身も心も壊されることになります。このように憲法に自衛隊を明記することは、決して「自然災害でお世話になっている自衛隊のため」にはならず、多くの自衛隊員の命と心を脅かすことになるのです。
第三は、「後法は前法に優る」という法律学の原則があり、後からつくられた条文が優先されるのです。9条1項・2項がそのままでも、「自衛隊明記」の条項がつくられ、9条1項・2項と矛盾した場合、後からつくられた「自衛隊明記」条項が優先されることになります。したがって、単に「明記」されると言うことではなく、9条1項・2項が空文化、死滅化されることになります。
・憲法コースの出番!
このように、「自衛隊明記」問題の核心、本質を多くの人たちに理解してもらうためには、署名運動を担う人たちが学習を深め、運動にどれだけ確信を持てるかが重要になっています。
・職場、地域に活動家集団の構築を-入門コース・勤通大運動を成功させよう
私たちは、これからの日本のあり方を左右する歴史的な岐路に立たされています。全力をあげて改憲発議をやめさせなければなりません。また沖縄の新基地建設をストップさせるために名護市長選や県知事選で「オール沖縄」の勝利のために全国が連帯することが求められています。こうした運動を職場地域から組織するには、職場地域に「憲法と政治を語る力」「政治と民主主義を語る力」をもった仲間の存在が決定的です。
仲間がこの「力」を身につけるにはなんと言っても大事なのは学習です。情勢の学習を深めながら、さらに、ものの見方考え方、経済や社会の仕組み、歴史の発展法則、社会変革の運動論などの基礎理論の学習が重要です。こうした学習によって、うわべの出来事に振り回されず、物事の本質をしっかり理解し、世の中と運動の未来に確信を持てるようになります。こうした仲間づくりの「場」が勤通大です。
勤通大は、1968年に開校されて今年で50年を迎えます。今年度の勤通大は、50周年を記念して入門コースを開設します。社会科学を初めて学ぶ人たちを対象として労働組合や民主団体、市民運動の担い手の養成を目指します。その他に憲法コースと労働組合コースが開講され、憲法と労働組合をめぐる情勢と「そもそも論」を学ぶことができます。この勤通大を成功させることは、今日の歴史的闘いに連帯し、寄与することになるでしょう。歴史的激動の一年、私たちの生き方が問われています。
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