労働者教育協会のブログ

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STOP共謀罪/「テロ対策」口実に国民抑圧/ 山下幸夫弁護士に聞く

STOP共謀罪/「テロ対策」口実に国民抑圧/ 山下幸夫弁護士に聞く

 政府が今国会への提出を明言している組織犯罪処罰法改正案。犯罪行為を話し合っただけで処罰することが可能になる「共謀罪」が盛り込まれています。過去何度も廃案になったはずなのに、なぜ政府は執拗(しつよう)に成立を狙うのか。共謀罪に詳しい山下幸夫弁護士に話を聞きました。
 
●テロ対策?
 「テロ等準備罪」の新設など、法案はテロ対策を前面に出しています。政府説明は信用できますか?
 
 共謀罪の法案は過去3回廃案になっていますが、今回の法案も中身はこれまでとまったく同じ。「テロ対策」を強調するのは、法律を通しやすくするための方便に過ぎません。
 3年前に「国際テロリスト財産凍結法」などが可決・成立したときも、これに反対しにくい雰囲気が生れていました。このときと同じような状況をつくり出し、法案反対の声を封じる意図を感じます。
 そもそも日本は国連が求める13本のテロ防止関連諸条約をすでに締結しています。政府は「国際的な組織犯罪の防止に関する条約」の批准に共謀罪が必要だと主張しますが、これも現行法にある「予備罪」などで対応は可能。共謀罪の新設は必要ありません。
 
●本当の狙いは
 テロ対策が口実だとすると法案の目的はどこにあるのでしょうか?
 
 ターゲットは、市民運動や労働運動です。安倍首相は一昨年、安保関連法を強行しましたが、市民団体や労働組合が大きな反対運動を展開しました。「戦争する国」への歩みを進めるのに邪魔になる。こうした運動を萎縮させるのに必要なのが共謀罪なのです。
 2005年に政府は「(共謀罪は)目配せでも成立する」と国会答弁しました。つまり、一言も発していなくても、暗黙の意思表示で共謀が設立するということです。ごく普通の会話やメールのやり取りでさえ、「裏には別の意味がある。共謀の証拠だ」と逮捕することが可能になります。
 労組の役員や市民運動家などを対象に盗聴器を仕掛けたり、監視や尾行で共謀をでっち上げる。そして「テロ等準備罪で逮捕」という汚名を着せ、労働運動や市民運動と国民を分断。運動を弱体化させていくのが狙いだと考えています。
 沖縄・高江で米軍基地建設に反対する活動家が軽微な容疑で逮捕されましたが、これなどは共謀罪による運動弾圧を暗示しているのではないでしょうか。
 
●対象者は誰?
 安倍首相は「一般人には関係ない」と説明していますが、それは虚偽だということですか?
 
 政府の説明を信じて、「自分はテロと無関係。共謀罪にも関係ない」と思っている人は多いと思いますよ。でも、誰が一般人なのかを決めるのは警察です。自分は無関係と思っているあなたが、ある日突然、共謀罪の罪を着せられても、全然不思議じゃありません。
 戦前の治安維持法のときも同じでした。最初は「共産主義者対策」と説明されていたのに、いつの間にか全国民が取り締まりの対象になっていた。共謀罪が通れば、自由にものが言えない社会になりかねません。
 法案が国会に提出されれば、まともな審議抜きに通過する可能性があります。議論をすればするほど、矛盾点が明らかになってしまうからです。ですから、法案を出させない取り組みが極めて重要。そのために労働団体も声を上げてほしいと思っています。
 

『連合通信』特信版ニュースより。
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