勤労者通信大学憲法コースのテキストには、2006年の旧テキスト以来、「戦争への反省と財政の将来」というコラムを掲載しています。
これを一部改訂し、本ブログにも掲載します。
戦争法が具体化し、軍事費が際限なくふくらんでいきかねない状況のもと、日本国憲法にもとづいた財政原則に立ち返ることがますます大事になってきていますので、ぜひご一読をお願い致します。
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戦争への反省と財政の将来
1930年代、日本が中国侵略をはじめると、膨大な軍事費が必要になり、政府は戦時債券(「赤字国債」)を乱発し、国民生活を圧迫しただけでなく、敗戦時には国家破産の状態でした。
日中戦争、アジア・太平洋戦争で2220億円(現在の貨幣価値に換算すると400兆円くらい)がつぎこまれました。
しかし、緊急時の歳出は勅令をもって処理できること(明治憲法第70条)、予算不成立の場合、前年度予算の執行権を政府に与える(同第71条)など多くの例外規定がありました。
財政上も戦争をしない歯止めが必要です。
そこで日本国憲法では、この痛苦の経験に学び、軍事に際限なくお金が使われることがないように、以下のような国家財政についての民主的な原則をさだめました。
第84条で「租税法律主義」、第86条で毎年の予算についての国会での議決、第90条で毎年の決算についても国会の審議をもとめ、「予算単年度」の原則を明確にしています。
また、財政法では公債や借入金を原則禁止しました。
私たちは、毎年毎年、予算がきまる時期に国家へむけたたたかいを強化しますが、実はこのことは、戦争の反省から「予算単年度主義」が勝ちとられたことと深くかかわっているのです。
歴代政府は、1975年以後、「赤字国債」を発行しつづけていますし、自衛隊強化のために、「予算単年度主義」の原則を破って、「後年度負担」方式を採用しました。
これは財政民主主義を骨抜きにするものです。
また、自民党の「日本国憲法改正草案」(2012年4月27日)では、第83条に「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない」という条文をつけ加えています。
この規定は、政府の長年にわたるムダな公共事業や軍事費の聖域化、大企業や金持ち優遇税制のツケを消費税のアップや社会保障・福祉・教育・国民生活にかかわる支出の削減で埋め合わせするための根拠になりかねません。
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