イデオロギー闘争と学習内容上の課題～総会方針より　⑧「維新の会」をどう見るのか

（８）「維新の会」をどう見るのか

　４月の統一地方選挙で維新は大阪府知事・大阪市長だけでなく、奈良県知事選挙でも公認候補が当選し、続く衆院和歌山１区補欠選挙でも議席を確保しました。また近畿圏の府県議選で議席を大きく増やし、全国の政令指定都市でも議席を増やしました。

　維新の議席増と自民党と日本共産党の議席減がセットの場合が多くなっています。自民党への批判票が維新に行き、維新が「改革政党」ととらえられていることがうかがえます。維新の「改革ストーリー」は次のようにパターン化しています。①大阪府・大阪市の財政は、維新前に破綻していた。②「退職金ゼロ」など「身を切る改革」で財政を立て直した。③増税せずに「改革」で生みだした財源で子育て施策を実現した。このような宣伝を全国でおこなうことによって、物価高に苦しみ、自公政権の増税・福祉切り捨てに怒りを持つ国民に浸透したといえます。

　また維新は「大軍拡」を主張しながら「大増税」に反対して「身を切る改革」を主張します。これは「防衛費の増額はしかたないが、増税は反対だ」という世論の動向に沿った宣伝です。

　しかし維新の主張や「改革ストーリー」には多くのデマ・フェイクが組み込まれています。維新は「大軍拡」が戦争の危険性を増大させることを隠し、その財源も明示できません。また「大阪市の財政は破綻していた」は事実無根です。「退職金ゼロ」はその分を報酬に分割して支給し、一時金を 348万円も増額させています。「学校給食無償化」は、国のコロナ対策予算で実施したのであって「身を切る改革」の成果ではありません。

　維新支持の増加には、コロナ禍によって吉村大阪府知事がテレビへの露出度を増したことが影響しています。全国的に認知度が高まり、吉村氏の遊説先で聴衆が多く集まりました。また、在阪テレビ局のバラエティ番組への出演を繰り返す維新の戦略が功を奏しています。逆に、在阪テレビ局の放送が視聴できない三重・福井・岡山の県議選での議席はゼロになっています。

　維新の得票・議席増の要因について、有権者が何を求め、維新の打ち出す政策がどのように影響したのかなど、今後の検討・分析とともに、デマ・フェイクを打ち破るとりくみが求められます。

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