※連合通信特信版記事より転載。
Q1 核兵器禁止条約が採択された意義を教えてください。
今までの米ロなどの大国の振る舞いは、「俺は持つけど、お前は持つな」というもの。たばこを吸っている人が他人に「お前は吸うな」と言っているのと同じことです。体が大きくて威張っているから周りは従うように見えるけれど、「こんちくしょう」と思っていて、やがて陰で吸うようになります。北朝鮮の核保有も、トイレでこっそり吸う高校生と同じことです。
今や、「たばこは健康に悪い」という認識が広がり、全面禁煙が議論されるようになりました。核兵器も同じです。価値転換が起きたのです。非人道的であり、誰の手にあっても「悪いものだ」とされました。「力の象徴」から「恥の象徴」へ変わったのです。それを国際条約の形で担保したのが核兵器禁止条約です。
Q2 保有国やその同盟国は条約に反対していますが、大丈夫ですか?
確かに、批准しない国を法的に拘束することはできません。しかし、核兵器使用が犯罪ということになれば、実際に使うことはかなり困難です。保有し続けるには更新費用を含めてお金がかかります。使えない兵器に大金をつぎ込むのは、財政難の折から難しい。
実際、昨年7月以降、30の銀行が核兵器関連企業への融資を中止しています。人道犯罪への共犯者になりたくないという判断もあるのでしょう。今年5月にはドイツ銀行が加わりました。こうした動きは今後も出てくるはずです。
Q3 北朝鮮の核問題にも条約は役立つのでしょうか?
問われているのは朝鮮半島の非核化です。一番いい方法は、韓国と北朝鮮が同時に禁止条約に署名することです。米朝のツートップが口約束をしたとしても、信用できるでしょうか。そうではなく、条約が定める法的枠組みに従って非核化を担保することの方が確実です。韓国を含める意味は、米国による核持ち込みをなくす狙いがあります。
Q4 日本にはどんな役割が求められているのでしょうか?
日本は、北朝鮮と韓国の非核化プロセスに参加すべきです。北朝鮮の核廃棄を検証することなどで貢献すれば、存在感を示すことができます。北朝鮮に対して不信感を表明するだけでは何も進みません。核兵器禁止条約を活用すべきです。
日本の運動についていえば、皆さんは実感が薄いかもしれませんが、労働組合などががんばって分厚い反核世論をつくってきたことの意味はとても大きい。核兵器の恐ろしさを引き続き語り伝え、ヒバクシャ国際署名の力で政府に条約批准を迫っていきましょう。
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