『経済』2019年3月号でも座談会が組まれていますが、あらためて最賃運動が注目されています。
春闘期ということもありますので、あらためて賃金や最賃のついて基礎から学びつつ、たたかいを展開したいものです。
連合通信特信版の最新記事も最賃でしたので、参考資料として転載します。
特信版最新記事
正社員の賃上げに波及効果

18年の高卒初任給の平均は16万2100円(厚生労働省調査)。祝祭日を除いた年間所定休日を120日とした場合、時給は992円となります。
東京都の地域別最賃は985円で、神奈川は983円。夏の改定で千円を超えることが確実です。両都県では初任給を上げないと、最賃違反になる可能性が生じます。違反には、差額支払いと併せ、使用者には刑事罰が課される強い規定です。
賃上げの効果は初任給にとどまりません。初任給が勤続2年や3年の賃金を上回ると、当然働く人の不満が高まりますから、賃金表全体を書き換えなければならなくなります。従業員全体の賃金を引き上げる、文字通りのベースアップです。
最賃プラスアルファの低賃金で働く非正規労働者はもちろん、正社員の賃上げに直結する効果を秘めているのです。時給千円未満の高卒初任給は約半数(グラフ)。最賃を千円に引き上げればその影響は広範囲に及びます。
大企業の労組がそれなりに高い賃上げを獲得して、社会全体に波及させる「春闘」の仕組みが十分に機能しなくなった今、最賃の役割に注目が集まるのは自然の流れでしょう。
悪循環からの脱却を

しかし、この効果は大都市部にとどまります。時給700円台が47都道府県中19県、全国加重平均874円未満は40道県あり、時給格差は最大224円にも上るからです。
日本のように国土が狭く交通網が発達した国で、地域別に最賃を設定している例はありません。時給が200円違えば年間40万円近い収入差が生じるので、大都市に若者が流れます。地方にはお金も人も残らず疲弊していくという、悪循環が生じています。
99年に全国一律の最賃制度を導入した英国の事例を、米金融大手ゴールドマン・サックスで日本経済の分析に従事した、英国出身のデービッド・アトキンソン小西美術工芸社長は次のように述べます。
「導入当時、経済状況に応じて設定すべきという抵抗があったが、狭い国土で地域別とする理由はないと押し切った。その後20年で3・6ポンドから7・83ポンド(1151円)に倍増させ、生産性は1・7倍に増えている。失業が増えるどころか、正社員の雇用が増え失業率は1975年以来最も低い水準だ。国策として最賃を上げるならば全国一律しかない」
自民党に最賃議連
2月7日、自民党内で全国一律制実現をめざす議員連盟(会長・衛藤征士郎衆院元副議長)が発足しました。デフレの完全脱却、東京一極集中の是正を訴えています。自民党が最賃アップにつながる政策を主張するのは極めて異例です。
最賃引き上げは消費拡大効果が絶大。全国一律千円以上となれば、正規・非正規ともに多くの地方で賃上げが進み地域経済は潤います。そのための中小企業支援政策をしっかり進めることが重要です。
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