資料として、今回は連合通信特信版記事を転載します。
特信版最新記事

経労委報告
同床異夢のベア容認
~残業代ゼロ制度の導入促す~
一時金重視に逆戻り?

転機は2014年春闘。政府主導の「政労使会議」で、経済の好循環実現のためには消費の拡大が必要として、賃上げの取り組みを確認。経労委報告もベア否定を改め、その後容認にかじを切りました。「官製春闘」と呼ばれるゆえんです。
今年も「賃金引き上げのモメンタム(勢い)を維持することで、経済の好循環に引き続き寄与していくことが期待される」とし、ベアを「選択肢の一つ」として容認しています。
従業員全員の賃金を一律に引き上げるのではなく、特定層への重点配分を呼びかけているのが特徴。従来あった「若年層や子育て世代」に加えて、中堅・シニア社員、「優秀社員」を対象に挙げました。
月々の賃金を引き上げるのではなく、手当や一時金(賞与)による「年収ベースの賃金引上げや総合的な処遇改善」も強調します。
従業員の暮らしを守り向上させる一律のベアには後ろ向きで、できれば一時金で解決したい――。そんな本音がにじみます。
反省なき生産性論議
「労働生産性の向上」も繰り返し登場するキーワード。日本はこの20年間、労働者への利益の配分を示す「労働分配率」が低下の一途をたどっています。労働生産性の伸びに比べ賃金が上昇していないことが原因。このことへの反省が全くありません。
大企業による買いたたきや値引き強要が、中小企業の賃上げを妨げています。中小企業の生産性向上を台無しにする悪弊ですが、法規制は弱く、改善には程遠いのが現状。経労委報告は「適正価格の実現」と言いますが、かけ声にとどまっています。
身勝手な働き方改革
「働き方改革」への対応にも、多くの紙幅が割かれています。狙いの一つは、女性、高齢者、若者、障害者に働いてもらえるよう、長時間労働の是正、多様な働き方を可能とする職場環境の整備です。深刻な人手不足が背景です。
もう一つは、新商品などイノベーション(新基軸)を生み出しうる人材については、労働時間規制がかかりにくい制度を適用し、どんどん働かせようということ。24時間働かせ放題で残業代ゼロの高度プロフェッショナル制の活用を促し、裁量労働制の営業職への適用拡大を訴えています。
人材こそ利益の源泉
過剰さが批判される「内部留保」(企業のため込み利益)については「将来への投資が不可欠であり、その原資である」と反論しています。賃金に回す分などないと言いたげです。
内部留保急増の主な要因は人件費の削減です。経労委報告自身が「企業の競争力の源泉は、新しい知識やアイデア、技術が生み出すイノベーションであり、それを起こすのは人材」と述べているのに、「人への投資」をないがしろにし続ければ、「競争力」が損なわれてしまうでしょう。
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