労働者教育協会のブログ

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おためごかしの「働き方改革」/骨抜き、便乗、許さない声を

おためごかしの「働き方改革」/骨抜き、便乗、許さない声を

 政府は3月、「働き方改革実行計画」をまとめました。「働く者のため」を装いながら、肝心な点は骨抜きにし、権利を奪う、おためごかしな内容と言わざるを得ません。問題点を指摘し、実効ある法改正を求めるとともに、集団的労使関係で法を上回る職場ルールをつくっていくことが求められます。
 
 残業の上限規制を新設しますが、水準に問題があります。〃過労死してもおかしくない〃と国が認めるほどの長時間労働を許しているからです。電通での新入社員過労自死事件を受けて、首相は「二度と悲劇を繰り返さない」と所信表明演説で述べましたが、行動が伴っていません。
 なぜこんなことになったのか。上限水準をめぐり労使の主張が並行線をたどる中、首相がこのままだと法制化できないと述べ、責任を労使委員に押し付けたことが背景として指摘できます。政府の働き方改革実現会議に招かれた労働側の代表は連合の神津里季生会長一人だけ。経済界の主張する過労死水準で押し切られたというのが実情です。
 同一労働同一賃金も、「非正規という言葉をなくす」と豪語した割には、がっかりな内容となりました。手当や福利厚生は少し改善されそうですが、基本給の格差にはほとんど手をつけていません。格差の合理性に関する立証責任を使用者側に課すという、当初の触れ込みも完全にほごにされてしまいました。
 
●働く者の権利が危ない
 
 便乗も目立ちます。継続審議中の残業代ゼロ法案は「早期成立を図る」。個人事業主化を促す兼業・副業の推進、再就職支援を理由とする年功賃金の破壊、外国人労働力の受け入れ拡大など、低コストの働き手を確保したい経済界の要求がしっかり盛り込まれています。
 9項目以外では、労働者を自由に職場から追い出せる「解雇の金銭解決制」の検討が急ピッチで進められています。非正規公務員への一時金支給を認める一方で、就労継続の期待権を奪う地方公務員法改正も国会に提案されました。
 働く者へのほんの少しの恩恵と引き換えに、雇用や賃金の権利は根こそぎ掘り崩す――これが安倍「働き方改革」の実像です。
 

『連合通信』特信版ニュースより。
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