労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

60年安保闘争と安保共闘─共産党オブザーバー参加問題をめぐって④(完)

《共闘における弱点の克服─社共が対等・平等の統一戦線へ》
 
 これまでのべてきたように、警職法改悪反対闘争から安保闘争にいたる社会運動の発展のなかで、安保反対の一点で結集する中央段階での共闘組織の結成が重要かつ緊急の課題となり、安保共闘の結成にいたりました。
 共産党が幹事団体会議へのオブザーバー参加だったという弱点をもってはいましたが、安保共闘は戦後はじめて社会党共産党が中央段階で持続的に共闘した統一戦線組織であり、史上空前の大闘争となった安保闘争において中心的・指導的な役割をはたしたのです。

 共闘における弱点が克服されたのは、1960年代後半から70年代前半にかけての革新自治体のひろがりと、それを支えた社会運動の発展過程においてです。
 とくに67年の東京都知事選挙での共闘が大きな意味をもちました。
 美濃部革新都政を実現した選挙母体は、社会・共産両党をはじめ、労働組合、民主団体、学者・文化人などを結集した「明るい革新都政をつくる会」(「明るい会」)でした。
 「明るい会」は、政策協定、組織協定をもつ民主的諸勢力の地域的な持続的共闘体制=地域的統一戦線の組織であり、60年安保闘争のときとちがい、社会党共産党が対等・平等の立場で共闘を組みました。
 この都知事選型共闘=「明るい会方式」が次第に全国にひろがり、67年に共産党を与党にふくむ革新自治体が52であったのが、77年には200に増え、革新自治体で生活する国民は、同じ10年間に約500万人から約4830万人、総人口の43.1%へと飛躍的に増加することになったのです。

 現在、脱原発運動を先頭に、消費税、TPP、基地問題など、さまざまな分野で「一点共闘」が前進してきています。
 これらの「一点共闘」の背景にはすべて、支配の岩盤としての日米安保が深くかかわっています。
 ですから、「一点共闘」の前進を本格的な国民的共同=統一戦線として発展させていくためには、安保学習を大いにひろげ、安保をなくし、憲法を活かした安心・安全の日本社会を気づいていくための担い手=“安保と憲法に強い活動家”を大量に育成していくことが重要です。
 同時に、統一戦線(運動)の到達点と課題を、統一戦線の原点に立ち返りながら明らかにしていくことも欠かせません。
 60年安保闘争を統一戦線の視点から学び直すことは、このような現代的課題にとっても大きな意味をもっています。

 連載はこれで終了します。
 統一戦線についてより深く学ぶために勤通大「基礎コース」を、日米安保憲法そのものの学習を深めるために勤通大「憲法コース」(2013年度よりリニューアル開校)を受講することをお薦めします。
 2012年度は9月末まで受講を受け付けます。
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 電話03-5842-5644
 
 FAX03-5842-5645
 
 
★参考文献
 *山田敬男著『新版 戦後日本史─時代をラディカルにとらえる』(学習の友社、2009年)
 *日本平和委員会編『平和運動20年運動史』(大月書店、1969年)
 *佐々木隆爾「安保反対闘争」(歴史学研究会編『日本同時代史3 五五年体制と安保闘争』青木書店、1990年)
 *『安保闘争 60年の教訓』(日本共産党中央委員会出版局、1969年)
 *『日本共産党の80年』(日本共産党中央委員会出版局、2003年)
 *不破哲三著『日本共産党史を語る』上(新日本出版社、2006年)