労働者教育協会のブログ

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国家独占資本主義の力を総動員するとは?

 基礎コース受講生からの質問と回答を掲載します。
 
 
質問:基礎コーステキストに「国家独占資本主義の力を総動員したこと」(362ページ14行目)とありますが、その具体的な中身を教えてください。
 
A:
 まず、国家独占資本主義とは、「金融寡頭制(少数の金融資本が国の政治・経済を支配すること─引用者)のもとで国家の力を経済分野に直接に介入させて、資本主義経済の危機を先送りし、経済成長を実現することで、大企業の搾取と支配を維持するしくみのことです」(236ページ)。このことを当時の日本にそくしていえば、以下のようになります。

 「日本政府の至れり尽くせりの産業政策、財政金融政策が設備投資と重化学工業化の推進に大きな意味を持ったのです。膨大な公共投資によって、高速自動車道路、港湾、用地、用水などの大型公共事業が行われ、産業基盤の整備が行われます。また日本輸出入銀行日本開発銀行などの公共金融機関から新鋭重化学工業部門に莫大な資金が超低金利で融資されました。租税特別措置による減免税によって大企業を全面的に支援したのです」(山田敬男著『新版・戦後日本史』学習の友社、2009年、167ページ)。

 現在もつづく露骨な大企業優遇政策は、高度成長期に本格的に形成されました。
 田中角栄に典型的にみられる利益誘導政治の根本には、こうした大企業優遇政策があります。

 小泉「構造改革」によって、従来型の利益誘導政治は後退しましたが、このことは大企業優遇政策が放棄されたということではなく、新たな再編・強化とみるべきでしょう。
 また、大型公共事業はかつてよりは後退したとはいえ、現在もゼネコン奉仕のムダなダムや道路などの建設は各地でつづけられています。