労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

労働者と資本家は和解せずに永遠にたたかつづける?

 受講生からだされた質問と解答例を掲載します。
 これも、そんなにしゃっちゅうではありませんが、似たような内容の疑問・質問がでることがあります。
 
 
《質問》

 基礎コースのテキストに、「労資の利害は根本的に対立している」と書いてありますが、労働者と資本家は対立して永遠にたたかいつづけ、和解することはないのでしょうか。
 
 
《解答例》

 資本主義社会における資本家(生産手段の私的所有者)の利潤(もうけ)は、自らが雇用した労働者が労働して生みだした剰余価値を搾取することによってのみ生じます。
 資本主義社会がつづく限り、労資の利害は根本的に対立しつづけます。
 なお、ここでいう対立とは、資本主義社会のしくみそのものから必然的に生じるものあり、人間的な仲たがいということとは別次元の問題です(もちろん、この対立が人間的な仲たがいにつながるということはありますが)。

 また、労資の利害が根本的に対立しているというのは、資本主義社会における客観的な状況を示しており、労働者のたたかいの基本的な条件となります。
 ただし、客観的に対立しているからといって、労資がいつも激しくたたかっているとは限りません。
 たたかいとは人間の主体的な営みですから、労働者自身が労資の利害対立という客観的な状況を理解する主体的な努力(この勤労者通信大学での学習のその一環です)なしにたたかいを組織していくことは困難です。

 労働者は、労資の利害が対立しているということを具体的な事実にそくして学習し、学習したことを土台にして労働組合に団結し、たたかうことによってのみ賃金を引き上げ、労働条件を改善して搾取を弱めることができますが、搾取そのものをなくすことはできません。
 搾取をなくすためには、資本主義社会のしくみそのものを変革して、社会主義社会(生産手段の社会的所有を基本とする社会)を実現する以外にはありません。
 なお、社会主義社会については第5章で学習してください。