●最新の理論的発展をふまえ、2020年度にテキストを全面改訂
貧困と格差がひろがり、非正規雇用労働者を中心に、人間が人間とみなされず、ボロぞうきんのように扱われる事態が横行しています。
そのようななか、あらためて「人間」とは何かを考え、人権と民主主義、個人の尊厳、立憲主義をとりもどすたたかいがひろがりつつあります。
こうしたたたかいをリードする活動家集団を養成するためには、政治と社会のあり方、しくみを見抜き、改善の方向を展望する、「科学の目」と「変革の精神」を身につけることが必要不可欠です。
勤労者通信大学の基礎理論コースは、まさにこのことを目的に開講されています。
私たちは、その学習内容を、「科学的社会主義の基礎理論」と呼んでいます。
2020年度に、この基礎理論コースのテキストを全面改訂し、最新の理論的発展を反映させた内容となって、3年ぶりにリニューアル開講しました。新しいテキストの特徴をひとことでいえば、「生きづらさの根本原因と解決の方向を探るための最適の教材」といえます。
●未来社会論で全体をまとめる
新テキストは、第1部・ものの見方・考え方(哲学)、第2部・資本主義経済と暮らし(経済学)、第3部・闘いと社会進歩(階級闘争論)というこれまでの構成を継承しつつ、各部を3章編成、計9章の編成にしています。
そして、科学的社会主義の理論の発展、および現代社会の矛盾の深化と労働者・市民のたたかいの前進を考慮して、より現代的な叙述を心がけました。
第1部では、テキスト全体への導入として、人間論からはじめました。
それは、科学的社会主義が間解放のための理論であり、この目的を達成するためには、あらためて人間の特性をおさえておくことが大事だと考えたそのうえで、唯物論、弁証法、および史的唯物論をできるだけ現実の問題に引きつけて叙述するとともに、未来社会への展望をのべています。
第2部では、資本主義経済のしくみをわかりやすく叙述しています。同時に、現代社会における労働の多様な発展や、資本主義のグローバル化、ICT(情報通信技術)などの生産力の発展と、資本主義の矛盾の深まりを論じ、その変革の方向をのべています。
第3部では、《人類の「生存の危機」》とのたたかいを重視しながら、現代の時代的特徴をわかりやすく叙述しています。
テキストには直接の言及はありませんが、コロナ問題など感染症パンデミックの問題も、この《人類の「生存の危機」》との関連で考え、対処していくことが重要です。
そして、《人類の「生存の危機」》も念頭におきつつ、新自由主義の問題を重視し、現代国家とその支配のあり方とその変化を整理しています。
またそれに対抗する現代の階級闘争の基本的特質とその社会的根拠を簡潔にまとめています。
そのうえで、戦後日本の支配のしくみと変革のみとおしをのべています。
最後に、未来社会をどのような視点で考え、どのようにむき合うかをのべて、全体を締め括っています。
未来社会論で全体をまとめたことが今度のテキストにおける新しい特徴の1つといえます。
●未来社会の「形成要素」
新テキストは、これまでのテキスト以上に人権と民主主義の発展を重視しています。
そして、人権と民主主義を発展させるためのたたかいの1つひとつが、未来社会を築くための“礎”=「形成要素」だと位置づけています。
未来社会というと、遠い先のことで、現在を生きる私たちには関係のないことと思われがちですが、実はそうではないということが、このテキストには示されています。
そう考えると、ワクワクドキドキしてきませんか?
これを読んだみなさんが、多くの仲間とともに新・基礎理論コースを学び、労働運動や社会運動を底辺から支える活動家集団として活躍されることを期待しています。
なお、テキストは2022年度に一部改訂しています。
《2022年度テキスト改訂のポイント》
哲学では、第2章の弁証法・唯物論を中心に、経済学では、第5章の搾取論を中心に改訂。
階級闘争論では、コロナ問題などこの間の情勢の変化を反映させました。
とくに市民と野党の共闘については、総選挙の結果をどうとらえるかをふまえた整理を施してあります。
今回の改訂をつうじて、基礎理論コースがより身近なものになったのではないかと自負しています。
「科学の目」と「変革の精神」をはぐぐむ科学的社会主義の基礎理論を学びましょう。
入門コース、労働組合コースもあります。
2024年度の宣伝物(版下)はこちら 。