労働者教育協会のブログ

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情勢学習:ウクライナ問題と東アジアにおける平和を追求する外交的努力(理事会方針より)

 ※ブログ掲載にあたり、センテンスごとの改行、パラグラフごとの1行アキ、一部の表現表記をあらためるなどの措置を施してあります。

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 《ウクライナ問題と東アジアにおける平和を追求する外交的努力》


○9月、ロシアウクライナ東部・南部4州の「併合」

 今年2月から開始されたロシアのウクライナ侵略は、ロシアの思惑通りにすすまず、軍事的にはウクライナ軍の反抗によって困難にぶつかり、国際社会からますます孤立しています。
 そういうなかで、9月30日、ロシアはウクライナ東・南部4州の「併合」を強行しました。
 プーチン大統領は併合とともに、「われわれは、当然、保有するあらゆる手段を行使する。これははったりではない」と核兵器使用の威嚇を強める発言をおこなっています。

 これにたいし、10月12日、国連総会は「併合」が違法であり、無効であるという決議を143か国の圧倒的な賛成で採択しました。
 これは今年3月の2つの総会決議を上回る過去最高の賛成です。決議はロシアが併合を撤回し、即時・完全・無条件のウクライナからの撤退を要求するとともに、「現下の情勢の緊張緩和、政治的対話、交渉、調停およびその他の平和的手段による平和的解決」を求めています。

 いま重要なことは、国連憲章をまものかどうかです。
 アメリカにつくかロシアにつくかではなく、国際社会共通のルールである国連憲章で団結することです。
 決議に棄権した中国やインドなど35か国をふくめて世界が一致すればロシアの国際的孤立がより明瞭になり、ロシア国内にも大きな影響を与えるにちがいありません。
 軍事的対立と軍事力ではなく、法と正義による平和の実現をめざすことが重要になっています。


○東アジアに平和の共同体を

 東北アジアでは、北朝鮮の連続的なミサイル発射がおこなわれ、中国も、“台湾問題”への軍事的対応を否定しておりません。アメリカは“台湾有事”への対応と中国の軍事的包囲に力を入れており、8月には環太平洋合同演習「リムパック」で集団的自衛権行使を想定したはじめての訓練をおこなっています。
 日本国内では、政府と自民党などが“台湾有事”や北朝鮮の“脅威”などにどう軍事力で対応するかの議論に明け暮れています。
 メディアもこの動きに同調しています。
 戦争の危機に備えていかに戦争の準備をするかの議論のオンパレードです。

 戦争は突然おきるのではありません。
 それまでの政治的な対立、外交的対立の結果として起きます。
 軍事的抑止力と軍備増強だけに熱中するのではなく、戦争を防ぐ外交的努力をどうするのかに知恵を働かすべきです。
 その意味では、ASEANが、2019年以降、努力をつづけている「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)に注目すべきでしょう。
 東アジアに国連の地域版集団的安全保障システムを構築しようという構想です。
 こうした努力に連帯し、ASEAN諸国、アメリカ、中国、ロシア、北朝鮮などを含む包括的な集団安全保障システムをめざすことが、日本外交の重要な課題といえます。

 そのうえで、北朝鮮とは「日朝平壌宣言」(2002年)、中国とは「日中共同声明」(1972年)、「日中平和友好条約」(1978年)にもとづく平和的な外交関係をつくることが日本とアジアの平和にとって重要な意味をもっています。

 

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