今考える反ファシズムの歴史/ITFが冊子/スペイン内戦80年で記念出版
1931年に成立したスペイン第二共和政は社会改革として、女性への選挙権付与や教育の拡充、地方分権を進めていた。これに対抗してクーデターを起こしたのがフランコ反乱軍で、ヒトラーやムッソリーニの支援を受け、スペイン内戦が36年に始まった。
当時、エド・フィメン書記長率いるITFは第二共和政支持を表明し、実践的な国際連帯活動を繰り広げた。英国、オランダ、ベルギーの主要港から、武器や弾薬がフランコ軍へ輸送されるのを阻止。一方、基金を設けて共和国側へ食料を運んだ。本書にはその例が多く記されている。
50カ国以上から義勇兵が参加した国際旅団は、作家のヘミングウェーや(ジョージ)オーウェルの文献でも知られている。デンマーク人の大多数は船員だった。英国の港湾労働者、ジャック・ジョーンズは、戦後に運輸一般労組の書記長(ITF副会長)になる。
●第一次大戦支持を反省
ITFは、1914年に第一次世界大戦が勃発すると機能不全に陥った。英独仏の労働組合が自国政府の戦争政策を支持したため、労働者の国際連帯はなおざりにされたのだ。その苦い体験から、アムステルダムでITFを再建したフィメンは反戦・反ファシズムの闘いを重視した。
※『連合通信』隔日版ニュースより。