労働者教育協会のブログ

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研究会:勤労者通信大学基礎理論コース全面改訂にむけて

 労働者教育協会は、第2回理事会(第56回総会期)に先駆けて、11月19日(土)、勤労者通信大学(勤通大)基礎理論コース(旧・基礎コース。科学的社会主義の基礎理論を体系的・系統的に学ぶ通信教育)の全面改訂にむけた研究会を東京都内で開催し、34人が参加しました。

 今回の研究会は、今年5月の総会で確認した入門コースの新設と基礎理論コースの全面改訂などの勤通大改革の具体化にむけた全国討議を深めるための最初の試みとして実施されました。
 開会あいさつで山田敬男会長は、こうした研究会はこれまであまり例がなく、きわめて画期的なとりくみであること、運動の困難な状況がつづくなか、全国の知恵と力を結集させて、何としても改革を成功させようと訴えました。

 報告は、今回は哲学分野(報告:村本敏〈勤通大基礎理論コース哲学教科委員〉)と経済学分野(報告:友寄英隆〈勤通大基礎理論コース経済学教科委員〉)の2本に絞られ、活発な討議がなされました。

 村本氏による哲学分野からの報告は、従来、唯物論と観念論の対立という根本問題を導入とする哲学学習のあり方を再検討し、哲学がテキストの最初に来るということは、哲学学習の導入だけでなく科学的社会主義の基礎理論学習全体の導入でもあるということに着目し、人間の存在から記述をはじめ、そのあとに弁証法唯物論史的唯物論を学ぶようにしてはどうか、このやり方は、科学的社会主義が人間の社会的解放の理論であるかぎり、しごくまっとうなものであることを強調。
 さらに、2004年度テキストから採用している価値判断(評価)や価値観(人権意識)の記述をさらに充実させる必要があること、未来社会論については階級闘争論だけでなく、経済学の分野でも、そして哲学においても史的唯物論で初歩的・概括的に記述すべきであり、そのためにも導入で人間論(社会形成と疎外、社会関係の自立化とそれへの個々人の従属〈関係の支配〉など)を記述しておく必要があると提起しました。

 友寄氏は経済学分野からの報告として、『資本論』とその草稿をふくむマルクスの構想全体を「資本論体系」と名づけ、「資本論体系」では三大経済範疇(土地所有・資本・賃労働)が貫かれているが、現行テキストにおける経済学の記述はよくできてはいるものの、三大経済範疇のうち資本と賃労働のみの言及で土地所有が抜けていると指摘。
 土地(自然)は生産の対象・生産手段・生活手段・基礎条件であり、土地所有は地球の一定部分を特定の人格が他人をすべて排除しながら私的意志の専属領分として独占すること、「搾取」の意味を原語にさかのぼれば自然と人間の両方が対象になっていること、このことは環境破壊の問題を考えるうえでもきわめて重要であり、テキスト全面改訂のさいに再検討されるべき問題であることが強調されました。

 討論をつうじて、今後さらに科学的社会主義の基礎理論がどのように発展してきているのか、その到達点をふくめた検討が必要であることが指摘されるなど、同様の研究会を何度か積み重ねながら全面改訂作業に入っていくことがあらためて確認されました。

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