労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

自民党改憲草案 危ない24条改悪/結婚や介護にも影響!?

 
 いよいよ自民党憲法改悪に動きだそうとしています。9条改憲を危惧する人が多いかもしれませんが、それよりも先に改憲されそうな条文の一つが24条。婚姻の自由と男女平等が定められています。その改悪は、私たちの生活や家族の形に大きな影響を及ぼします。
 
●許可がないと結婚できない?
 
 現憲法は、婚姻を「両性の合意のみに基いて成立」としています。なぜかこれが気に入らない自民党改憲草案(2012年)で「両性の合意に基づ」くと「のみ」を削除してしまいました。その意図は何でしょうか?
 家族問題などに取り組む弁護士らが指摘しているのは「『のみ』が削除されれば、結婚には当人以外の『誰か』の同意が必要になる可能性がある」という点。その誰かとして考えられるのは親族です。親や親戚の反対があった場合、結婚が認められなくなり、これまで保障されてきた「婚姻の自由」が制限されるという事態も考えられます。
 結婚したい当人たちの意思よりも、「家族の同意」が優先されていた戦前に時計の針を戻そうという時代錯誤が「のみ」の削除に透けて見えます。
 
●離婚が違憲になる?
 
 改憲草案の24条にはこのほか「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」という条文が新設されています。「家族条項」といわれるものです。
 一見すると、「家族を大切にするのはいいことなのでは?」と思うかもしれません。でも、権力を縛るための憲法に、個人の私生活に口を出すような決まりを作るなんて、「よけいなおせっかい」です。
 性格の不一致などの理由に加え、近年はDV(家庭内暴力)などによる離婚も増えています。しかし家族条項に基づけば、「家族なのに助け合っていない」とみなされ、「離婚は憲法違反」にもなりかねません。離婚のハードルが、現在よりもずっと高くなるのは間違いなさそうです。
● 介護は「家族」の責任
 
 憲法に「家族条項」が加えられ、家族の助け合いが義務化されれば、「育児も介護も、家族の問題は家族の努力で解決すべき」という自己責任が強まるのは必至です。
 現在でも安倍政権は要支援1、2を介護保険から外し、サービスを縮小するなど「家族の責任」に重きを置く社会保障改悪を進めています。これ以上の介護サービス縮小は、高齢家族が要介護の家族を介護する「老老介護」や介護離職などの問題がさらに深刻化しかねません。
 「家族で助け合えば生活保護は必要ない」として、「親族間の扶養義務」が強化される心配も。DVなどの理由で親族に援助を求められない場合であっても、憲法をたてに生活保護が拒否される事態すら懸念されています。
 
 
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