労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

基礎コース押しだし討議資料

 基礎コース押しだしのための討議資料をつくりました。

 この討議資料は、

 ①学習協内部で意思統一をはかる。
 ②主要な労働組合・団体との合意形成をはかる。

 という目的にためにつくりました。

 全労連初級教育制度が発足するもと、学習教育運動の裾野がひろがる可能性がある一方で、短期的には、とくに労組コースが量的には少なくなることが予想されるなか、勤通大本部としては基礎コースと憲法コースに重点を置いて運動をすすめております。
 こうしたなか、学習協関係者からは、「基礎コースこそ我々の独自課題。我々ががんばってひろげないと」という声もあらためてひろがりつつあります。

 討議資料では、基礎コースが階級的自覚を身につけるためにこそ存在していること、そして、社会変革の意義と社会変革全体のなかでの労働組合の位置や役割が確認できるという基礎コースならではの特性を、実際の受講生の声もまじえながら訴えています。
 募集活動のなかで、ぜひともこの討議資料を活用し、基礎コースの受講を大いにひろげていただきたいと思います。

 何卒よろしくお願い申し上げます。

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  《 討 議 資 料 》

「豊かな心」を身につけた、魅力的で「ぶれない活動家」の集団を育てよう
~勤労者通信大学基礎コースの積極的な学習を~

2015年4月1日
勤労者通信大学事務局

階級的自覚を身につける
 勤労者通信大学(勤通大)労働組合コースの感想を読んでいて、「おや」と思ったことがあります。大阪の港湾職場で働く20代の青年の言葉です。

  生産手段をもたない私たち労働者は、使用者にたいして弱い立場でありながら、“団結”することによって“ストライキ”や“団体交渉”などがおこなえることにあらためて驚かされました。私の職場では“未組織”と呼ばれる、どこの組合にも属さない人がいます。「組合に入らないの?」と声をかけるのですが、「お金がもったいない」「好きな人がやればいい」。“階級”という言葉をもっと世の中にひろめなければと思いました。

 基礎コースならよくわかるのですが、労組コースを受講して、「“階級”という言葉をもっと世の中にひろめなければ」という感想に出会うとは、正直なところ、ちょっとびっくりしました。もちろん、労組コースのテキストにも「階級」という言葉はでてきますし、一定の説明もあります。
 しかし、この「階級」という言葉は、科学的社会主義の基礎理論のおけるキーとなる概念の1つであり、その本格的な内容については基礎コースでないと学べないのです。

 実は、勤通大の募集活動をしていると、少なくない労働組合幹部の方が必ずいう言葉があります。それは、「労働組合コースだけでは活動家は育たない。やはり基礎コースを学ばないといけない」ということです。
 その理由は、まさしく「階級」の問題にかかわってきます。基礎コースの重要な学習目的の1つとして、階級的自覚を身につけることをあげることができるからです。
 それでは、階級的自覚とは何でしょうか。
 いま、どこでも世代交代がすすみ、次世代育成が大きな課題になっています。とくに、これからの運動をリードする活動家を育成することが重要です。そのためには、要求にかんする基礎理論、労働組合にかんする基礎理論の学習ももちろん必要です。
 同時に、それだけでなく、社会変革の基礎理論の学習が必要不可欠なのです。ひろい視点から世界や日本の政治、経済がどうなっているのか、また思想と文化の状態がどうなっているのかを学び、時代の流れと社会問題の背景にある本質的な矛盾をしっかりと把握することです。
 このような努力で、社会変革と未来社会への確信をもち、職場や地域で多くの仲間の連帯を組織する自覚的な労働者の集団をつくることが可能になります。自覚的な労働者の集団があってこそ、労働組合はどんな困難があろうとも、前進することができるのです。
 こうした自覚のことを階級的自覚といいます。階級的な自覚をもつ活動家の集団をつくることが次世代育成のひとつの重要な目的といえます。この階級的自覚は、たんなる経験の積み重ねでは身につけることはできません。社会科学の学習がなければ、こうした自覚を形成することはできなず、科学的社会主義の基礎理論の学習によってこそ身につけることができます。

階級的自覚における全国性と政治性
 階級的自覚を身につけるうえで、具体的に大事なことは、①全国的に団結することの重要性(全国性)、②政治の根本的な変革の必要性を深く理解すること(政治性)といえます。
 地域や職場で活動する場合においても、「自分たちの活動が全国の仲間と連帯して行われている」「自分たちが抱えている課題は、全国の仲間が共通に抱えている悩み・問題だ」「これを解決することが、自分たちの問題であると同時に、全国の仲間の利益にもつながっているのだ」という、全国的な視点に立って活動できるかどうかです。さらに、職場や地域の生活や権利をまもるには、根本的には政治を変えなければだめだという自覚です。
 全国性と政治性を身につけることが、階級的自覚を身につけるうえできわめて重要な意味をもっているのです。

今日の日本における階級的自覚の内容
 労働者階級の階級的自覚は、たんに自分が労働者であるというだけでなく、労働者の解放のために何をどのようになすべきかの自覚です。
 それは今日の日本では、①アメリカいいなり、財界本位の政治と社会を変革して、独立・平和・民主主義の日本をめざすという自覚であり、そのうえで、②搾取のない未来社会をめざすという自覚です。
 この2つの自覚こそが、今日の日本の労働者と国民に必要な階級的自覚の中身といえます。この2つの中身を結びつけて理解することが重要になります。
 このことをちがった角度からいえば、以下のようになります。
 日本には人類の財産ともいえる日本国憲法が存在しています。この憲法をより所として、長期にわたる民主主義のたたかいを積み重ね、政治、経済、思想と文化のあらゆる領域で民主的改革をおこない、独立・平和・民主主義の日本を実現することが求められています。そのうえで、搾取のない未来社会の展望が生まれてくるのです。
 ですから、日本における社会変革の担い手は、民主主義を深く理解しなければなりません。今日の日本における階級的自覚の形成にとって、民主主義の理論と思想の理解を深めることがきわめて重要になっています。民主主義的自覚の成熟がなければ、階級的自覚の形成や発展はあり得ないのです。
 勤通大基礎コースは、科学的社会主義の基礎理論を体系的・系統的に整理したうえで、今日の日本における階級的自覚を理解し、たたかいの方向性や未来社会への展望を学ぶことができる、他に類をみない学習システムになっています。

労働者階級の歴史的使命をつかむ
 勤通大は、労働者と国民の「大学」であり、入学資格もありませんし、修了しても特別の資格をもつわけでもありません。この「大学」で学び、修了することは、時代の流れをつかみ、社会の変革や労働組合運動にかかわることのすばらしさを自覚し、社会と結びつきながら生きる人間的なすばらしさの確信を与えてくれます。
 多くの仲間を勤通大に組織し、科学的社会主義の基礎理論の体系的学習を推進することが、労働運動をはじめとする日本の社会運動を大きく前進させる「力」になるにちがいありません。
 では、具体的に、どのように「力」になっているのか。受講生に聞いてみましょう。

 基礎コースを受講して、憲法の大切さや労働組合の必要性がわかってきたように思います。ここで学んできたことを、今後の組合活動にしっかりと活かしていきたいです。(M・Kさん、34歳。 島根、建交労)

 基礎コースを受講することによって、「労働組合の必要性がわかった」というような感想をよせる方は、実はけっこういます。もちろん、より本格的に労働組合の役割や任務、日常的な活動のあり方などを学ぶためには、労働組合コースを学ぶ必要があります。大事なことは、基礎コースの場合、社会変革全体のなかにおける労働組合の位置を理解することに主眼が置かれており、そのことに反応する受講生が多いという事実は知っておいてもらいたいと思います。
 その点では、以下の感想も注目に値します。

  「労働者階級は、階級闘争によって社会発展を推し進め、最終的には社会主義社会を実現し、いっさいの搾取・収奪・抑圧をなくすという歴史的使命をもって登場した階級なのです」という文章がたいへん印象に残りました。(Y・Mさん、39歳。奈良)

 科学的社会主義の基礎理論を少しでも学んだことのある方なら、この「労働者階級の歴史的使命」という有名な言葉にうならされることでしょう。労働者階級の階級的自覚については、労働組合コースの冒頭でもそのエッセンスを学ぶことはできますが、労働組合コースの場合、基礎コースで本格的に学ぶ内容の「おさらい」的な意味合いの強いまとめ方になっています。
 これにたいして基礎コースでは、「労働者階級の歴史的使命」にまで突っ込んで学び、社会変革への深い確信とともに、変革の「主体者」=社会の主人公が労働者階級をはじめとする勤労人民であることをつかむことができます。
 この「労働者階級の歴史的使命」にかかわって、言葉そのものには言及していないものの、内容的にこのことの核心に迫る感想をよせている方もいます。

 今日、新自由主義のもと、実生活で次から次に憲法がふみにじられているとか感じます。さらに安倍政権は、「積極的平和主義」や「アベノミクス」というかたちで暴力的に憲法を改悪し、軍事大国へと暴走しています。これは安倍政権の強さではありませんが、労働者階級はいまこそ、自己解放をかけて「平和と民主主義」をたたかいとっていかなければならないと思います。全世界の先駆者たちがたたかいとった地平を学び、いまこそそれ以上のたたかいを、労働組合の基礎的団結として、たたかいとっていかなければとつくづく思いました。(S・Fさん、57歳。東京、自交総連)

 まさしく、「労働者階級の歴史的使命」をしっかりと受け止めた感想といえます。

基礎理論学習=筋トレ
 また、運動を前進させるためには、「ぶれない活動家」が必要だ、ということもよくいわれます。このことにかかわって、こんな感想をよせている方がいます。

  ものの見方・考え方などの基礎理論を学ぶのは筋トレして基礎体力をつけるようなもの。基礎理論をしっかり学習している活動家は行き当たりばったりにならず展望をもっており、魅力的だ。(R・Hさん、51歳。広島、自治労連

 この「基礎理論学習=筋トレ」という考え方も、複数の有力な労働組合幹部・活動家の方がよく指摘されることです。筋肉は、使わないと弱くなる、衰える。筋トレを3日もサボると、再開したときに前よりきつくなっているのものです。しかし同時に、筋肉は、鍛えれば鍛えるほど効果があります。基礎理論学習にもかなりの程度、つうずるものがあります。
 注意しなきゃいけないのは、筋トレならある程度は1人でも可能です。しかし、基礎理論学習は、なかなかそうはいかない。いきなり独習にとりかかれる人は、一定程度、学習の訓練が積まれている方でしょう。
 チューター・助言者がつく学習会のなかで集団的に討論し、そのことをつうじて、少しずつ、独習ができるだけの蓄積をつくっていく必要があるように思います。

「ぶれない活動家」を育成し、労働運動をはじめとする社会運動の前進を
 ある看護師の方は、組合で基礎コースを集団学習した経験をつうじて、科学的社会主義の基礎理論学習について、以下のような感想をよせてくれました。

  勤通大は視野が狭くなりがちな医療の現場で必須の学習内容。人の心を看護できる看護師を育てるため、また私自身がその心をもちつづけることができるよう、豊かな心を育てるための大切な学習。1人でも多くの人に科学的社会主義の素晴らしさをやさしい言葉で伝えたい。(T・Sさん、45歳。熊本、全医労)

  「ぶれない活動家」として成長するためには、この方がいわれるように、「豊かな心を育てる」ことも大切です。
  「豊かな心」を身につけた魅力的で「ぶれない活動家」を1人でも多く育てるために、ぜひ多くの仲間を勤通大基礎コースに組織し、人類の知的財産であり、最良の科学である科学的社会主義の基礎理論の集団学習をすすめられることを心から期待します。