働くもののいのちと健康を守る全国センター(いの健センター)の機関誌『季刊 働くもののいのちと健康』№62(2015.1冬季号)に、吉崎祥司著『「自己責任論」をのりこえる─連帯と「社会的責任」の哲学』の紹介が掲載されました。
執筆者は、いの健センター事務局次長で労教協会員の岡村やよいさんです。
岡村さんおよび編集部のご厚意で、本ブログにも転載させていただきます。
転載にあたり、一部の漢字をひらがなにあらため、センテンスごとの改行、パラグラフごとに1行アキにしました。
***以下、転載
いつの間にか、私たちの考え方の根っこに張りついてしまった「自己責任論」。
進学や就職はもちろん、最近では、会社でのノルマが達成できなかったとき、あなたの責任、あなたの能力が足りなかったからだという理由で、基本給からノルマ不足分を差し引かれ ることもあり、そのことを諾としてしまう青年労働者もいるといいます。
本書では、“「自己責任論」は、政治的・政策的言語である」”1990年代から、日本の政財界が意識的に使いはじめ、世紀が変わるころからその勢いを増してきたとしています。
そして、「自己責任原則」を自明の大前提のようにいいはる主張は、優勝劣敗・弱肉強食の競争の徹底した、利潤確保・拡大を必須とする規制緩和・新自由主義の拡大へと結びついていることが指摘しています。
この間、全体としては減少してきた労災事故(死亡・重大事故)が再び増えてくる状況があります。
必要な教育や訓練を受けられずに、現場で即戦力とされ、病気やケガは本人の能力不足。
知らず知らずに私たちの中にもあるこの思想の克服が重要です。
病気やケガの元の元を考えることが予防に不可欠のこと。
連帯と「社会的責任」の哲学を考える本書が、その手助けをしてくれます。
(全国センター 岡村やよい)
***以上、転載
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