基礎コース受講生からの質問と解答を掲載します。
A:
ご質問の趣旨は、いわゆる「プロレタリア・ディクタツーラ」という言葉の問題ですね。
かつて日本の社会主義・共産主義運動の間では、日本語に翻訳するにさいして戦闘的な言葉で表現したほうがいい、という風潮がありました。
「プロレタリア・ディクタツーラ」の訳語として、1960年代ごろまではご指摘のように「プロレタリアートの独裁」と訳していましたが、その後、訳語の検討がおこなわれました。
そして、これは労働者階級の独裁(単独で裁断する)という訳語では不適切、と判断されました。それ以後は、「プロレタリアートの執権」(権力を握る)とあらためられました。
現在は、わかりやすくするという意味も込めて、「労働者階級の権力」と表記するのが一般的です。
基礎コーステキストでも、労働者階級の立場に立つ権力という意味で、「労働者階級の権力」と表記しています。
「プロレタリアートの独裁」という表現は、国家の本質と形態を混乱させた議論です。
つまり、社会主義への過渡期に労働者階級の立場に立った国家が必要という意味での、つまり本質規定としての「労働者階級の権力」という意味と、具体的な国家の形態を混乱させているのです。
もちろん、プロレタリアートの権力は、その形態としても「独裁」ではなく民主主義を必要としています。