労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

教研集会についての補足2

 教研集会について、以下のような意見をいただきました。

  「憲法については中高年の人たちだって改憲容認の人がいますから、必ずしも『次世代』の人が学習対象にはならないでしょうし、『次世代育成』に必要なのは唯物論剰余価値論だというのが労教協さんの立場ではなかったのでしょうか。それはともかく、要は、このシンポジウムの趣旨は、憲法なのか、後継者育成なのか、いまひとつはっきりしないように思います」。

 お気持ちは理解できます。
 あらためて当方の問題意識をのべさせていただきます。

 くり返しになりますが、憲法・権利学習の課題と次世代育成の課題を「結びつけて」考えていこうというのが今回の試みです。
 ひろく憲法・権利学習一般とか、原理的な意味での次世代育成ということよりも、現実に展開されている運動との関連、また労教協がこの間とりくんできて、一定の蓄積のある両者の課題を結びつけて議論していくことが大事ではないか、という問題意識から、今回のシンポジウムを企画しました。

 憲法学習の対象が次世代だけに限られたものではないことはいうまでもありません。
 ですが、今回については、次世代育成と結びつけるため、対象をそちらに絞り込んでいます。

 また、次世代育成に科学的社会主義の基礎理論学習が必要だというのは、たしかに私たちの基本的立場ですが、同時に、というか、そうであるがゆえに、憲法・権利学習も、日本における次世代育成・活動家養成や社会変革にとって必要不可欠の課題であると認識しています。
 実際、勤労者通信大学の各コースでも、そのものズバリをとりあげている憲法コースはもちろんのこと、基礎コースや労働組合コースでも、憲法や権利の問題について一定のページ数を使って叙述しています。
 憲法・権利学習は、現実の日本社会をどのように変えていくのかという課題を深めるうえで欠かせない問題であり、憲法や権利の学習を媒介にしなければ、活動家にとって必要不可欠な階級的自覚を身につけ、深めることは困難だと理解しています。

 日本社会を民主的に変革していくためには、いわゆる「2つの政治悪」(「アメリカいいなり」「財界べったり」)をとりのぞかなければなりません。
 ひとことでいえば、安保をやめて、憲法を活かした安全安心で豊かな社会を実現する、ということです。
 こうした民主主義的なたたかいを発展させることによってこそ、搾取のない真に平等な未来社会を実現する展望がひらけるのです。
 民主主義の発展と未来社会の展望の2つを結びつけて理解することが、日本における階級的自覚の今日的な中身として重要です。
 今回のシンポジウムでは、こうしたことをも念頭に置きながら、主要には民主主義の発展という問題に力点を置いた憲法・権利学習と次世代育成の2つの課題を結合させて、“憲法と安保に強い活動家”を育成していくために何が必要か、どういう課題があるのかについて、議論を深めていきたいと考えています。

 これまたくり返しになりますが、憲法・権利学習と次世代育成という2つの課題、またシンポジストのそれぞれのテーマは、それぞれ相対的独自性が強いがゆえに、短い時間のなかで結びつけて議論するのは簡単なことではありません。
 当日の議事運営もかなり工夫が必要になることでしょう。
 それでも、憲法・権利学習と次世代育成の問題を「結びつけて」考えていくことが、いま本当に重要になっていると考えておりますので、このようなシンポジウムを企画した次第です。

  「趣旨がどこにあるのか」と疑問をもたれる気持ちもわからないではありませんが、「結びつける」という当方の問題意識を受け止めていただければありがたいです。