労働者教育協会のブログ

生きにくいのはあなたのせいじゃない。

国労革同学習交流集会での訴え

 昨日紹介した国労学習交流集会での訴えの原稿を掲載します。
 
 
 ただいまご紹介いただきました、労働者教育協会の吉田といいます。
 今日はこうした訴えの時間をいただきまして、まことにありがとうございます。お食事を目前に控えたところで恐縮ではございますが、いましばらくおつきあいいただきたく思います。

 どうもこの学習交流集会は強風に縁があるようです。
 今日は昨日の暴風雨の名残の強風で電車のダイヤが乱れており、到着がスタート時間ギリギリになってしまいました。
 昨年の和倉温泉での学習交流集会でも訴えさせていただきましたが、あのときも北陸地方の局地的強風のため、スタート時間に会場に到着することができませんでした。
 同じ新幹線に乗っていた東日本本部や東京地本の方々と一緒に、直江津からレンタカーで3時間か4時間かけてやっと到着したことを、つい昨日のことのように思いだします。
 現地でもプログラムを変更するなどの対応をしていただいたこともあり、なんとか任務をはたすことができました。
 あらためまして、みなさんのご配慮に心から感謝したいと思います。本当に、ありがとうございました。

 さて、上条弁護士やJAL原告団の方もお話になりました『もう一度空へ』について、私もひとことのべたいと思います。
 本書の版元である学習の友社は、私が勤めている労働者教育協会(労教協)が出版活動をするさいの名称です。
 私は出版担当ではありませんが、こういうかたちでJAL原告団のたたかいの前進に貢献できることを、学習の友社の一員としてたいへんうれしく思っています。
 このブックレットには、本当に宝ものがたくさん詰まっています。
 なかでも、本書の最後に掲載されている、大阪在住原告の西岡ひとみさんの手記のことを語らないわけにはいきません。
 ここには、国労の方々とJAL原告団との方々の交流が紹介されています。
 その一部を読み上げます。

 《私には、忘れられない言葉があります。原告の活動をはじめた頃のこと、国労新幹線の集会に参加したとき、国労のある方が私の手をひいて前につれだし、こう言いました。
   「『今日署名を100筆いただかないと帰れません」と言いなさい」
  「遠慮してたら勝てないよ。私はこんな理不尽な事をされました、私はここにいます、私は働きたいんですと、自分の言葉で言いなさい。上手でなくてもいいから、自分の悔しさをぶつけなさい」
  それまで遠慮気味に参加し、何をしていいのかわからなかった私の気持ちが楽になった瞬間でした。
  それ以来、積極的に活動を広げていくにつれ、解雇、労災、雇止めなど理不尽なことがいかに多いかを知りました。一緒に闘わないと、労働者の権利は守れないと学びました。》

 とても感動的な話だと思います。
 私は、いわゆる1047人問題など数かずの困難に立ちむかってきた国労の方ならではの対応なんだろうなという感想をもちました。
 私はこのブックレットを読んで、1日1日を必死になって生きており、自らの繁栄を底辺で支えている労働者の首を切るということを平然とやってのける企業の姿勢とともに、そういう企業を後押しする司法、国家権力のあり方に、あらためて心底から怒りの気持ちを覚えています。
 このようなことをけっして許してはならない。
 JAL社会保険庁の事例は、いわば「首切り自由社会」をもくろむ権力の野望を如実に示しているのだと思います。
 JAL原告団国労のみなさんとともに、私自身も、たたかいの一翼を担いたいと決意を新たにしています。

 では、どうやってたたかいの一翼を担うのか。私は労教協という学習教育運動の団体の属していますから、それにふさわしい担い方を考える必要があります。
 『もう一度空へ』の出版ももちろんその1つですが、ここでは、私が担当している勤労者通信大学(勤通大)について訴えたいと思います。

 勤通大は、科学的社会主義の基礎的理論を体系的に学ぶ、世界で唯一の通信教育です。
 科学的社会主義は何かということをひとことでいうならば、私たちの生きづらさの原因はどこにあるのか、この生きづらさから抜けだすにはどうしたらいいのか、こうしたことを指し示したものだといえます。
 文字どおり科学的社会主義の基礎的理論を学ぶ基礎コースをはじめ、そのことをふまえた労働組合コースや憲法コースという3つのコースを開設しています。
 1968年の開校以来45年になりますが、この間に20万人の方々が修了しており、職場や地域の活動家の育成に一定の貢献してきたと思っています。OさんやYさんが先頭になってがんばってくれている東京、EさんやSさんが先頭になってがんばってくれている宮城、TさんやSさんが先頭になってがんばってくれている広島など、国労の方々も毎年、勤通大を活用してくれており、たいへんありがたく思います。
 
  今年2013年は、情勢の激変を受けて、憲法コースを全面的に改訂して開校しました。
 憲法コースが発足したのは2006年ですが、発足後まもなくして第1次安倍政権が成立しました。
 第9条を中心とする徹底した平和主義を敵視し、明文改憲に執念を燃やしていた当時の安倍首相は、改憲反対の世論と運動によって、翌2007年夏の参議院選挙で歴史的惨敗を喫したことにより、退陣を余儀なくされました。
 当時の憲法コースも、安倍政権崩壊に一定の貢献をしたのではないかと思っています。

 しかし、昨年末の総選挙の結果、その安倍晋三が首相に返り咲いてしまいました。
 なんとしても返り討ちにしたいものです。
 そのためにもぜひ、勤通大、とくに全面改訂した憲法コースを受講してもらいたいと思います。
 今回の改訂の特徴は、くわしくは、みなさんのお手元にお配りしています資料に書いてありますので、ぜひあとで読んでください。
 私からは、2つのことにしぼって訴えたいと思います。

 1つは、最大の焦点である第9条の積極的意義を押しだすために、その最大の敵である日米安保体制への全面的な批判を展開していることです。
 9条の会に結集している人たちのなかには、第9条は大事だが安保や自衛隊は必要だという立場の方も少なからずいました。
 これにたいして勤通大は、安保や自衛隊日本国憲法を相容れないという立場をとっています。
 そこで改訂前の憲法コースは、9条の会との連携をかなり意識し、安保や自衛隊についての全面的な批判は避ける叙述に努めました。
 今回の全面改訂では、以前にも増しての改憲勢力の“本気度”を強烈に意識し、第9条をはじめとする徹底した平和主義と日米安保体制がいかに相容れないものであるかを、第2章で全面展開しました。
 このなかでは、安保が平和問題、軍事問題に限らず、原発問題をはじめとする私たちの生活全般にわたって悪影響をおよぼしていることも学習できるということも、つけ加えておきます。

 もう1つは、人権問題を最大限、重視したことです。
 働くルールや社会保障(第3章)、教育問題(第5章)、両性の平等やジェンダー問題(第6章)という具合に、6章構成のうち半分の3章が人権、とくに社会権の問題を扱っています。
 このへんの記述の大半は労働組合の方々のご協力をいただいていることもあり、「権利はたたかいとるもの」だということが具体的にイメージしやすい叙述になっていますので、活動家養成にも一定の貢献ができるのではないかと思います。

 このように憲法コースは、国労運動の発展はもとより、JALのみなさんのたたかいの発展にとっても、重要な意味をもっています。
 第2次安倍内閣のもとで、パート法や男女雇用機会均等法の改悪など、あらためて労働法制の規制緩和が大きな問題となっています。
 こうした動きは、そもそも憲法の精神と相容れないモノです。
 日本国憲法は、第25条で国民の生存権を謳い、第27条で勤労権、第28条で団結権をはじめとする労働基本権を保障しています。
 この憲法の精神にたてば、JAL社保庁での解雇はもちろんのこと、安倍内閣がもくろむ労働法制の規制緩和など、あってはならないことです。
 そうはいっても、実際に首切りは強行され、労働法制も改悪されつづけています。
 「首切り自由社会」の実現を許さないためにも、憲法を武器にしてたたかうことが必要不可欠です。
 ぜひ勤通大憲法コースを受講してください。

 4月開校ですので、はやいところではすでに学習がはじまっていますが、まだしばらくは受けつけます。
 ぜひ組合員をはじめとする仲間の方々にもひろげてもらえればありがたく思います。
 何卒よろしくお願い申し上げます。