読者からの感想を紹介します。
なかなか気合いが入っています。
よく勉強されている方ですね。
*以下、感想
唐鎌直義さんの「生存権の今日的意義」(3月号)を読んで、印象に残った点を4つ挙げます。
第一に、近年の日本では貧困の原因を社会機構からではなく当事者側への問題へと転換させて、当事者次第で貧困は解決できるという幻想をふりまいているとしています。
そして、それは大昔のイギリスにおける新救貧法と同じだとしています。
新救貧法(日本でいう生活保護法)は、貧困は個人責任(=怠け者)という考えから、その受給者を救貧法という監獄のような場所に収容して社会と隔離し、受給者以外の人の誰よりも低い処遇で救済する(劣等処遇の原則)というものでした。
そのような貧困にたいする考え方に転換させようとしている支配層に強い怒りを覚えます。
第二に、社会保障制度の原点になった「ベヴァリッジ報告」がナショナル・ミニマム保障のために雇用を重複しているが、現在の日本では雇用の質が劣悪だから社会保障がうまく機能しないという指摘があります。
ワーキング・プアと生活保護受給者がメディアのすり込みなどで対立構造になっていることを考えると、本当にそのとおりだと思いました。
第三に、医療や住宅などの生活基盤部分を現物給付(お金ではなくサービスを公的に提供する)でおこなうことを提案しています。
社会保障は一部の人だけのものとする自民党などの考え方(児童扶養手当など)が国民分断を引き起こすし、結果として国民全体の生活水準を低下させると思いますので、この指摘は本当に重要だと思います。